転職時期はいつがいい?求人動向・ボーナス・繁忙期から見極める最適タイミング【専門家監修】
監修者
 
              隈本稔
                  ■資格
                  国家資格キャリアコンサルタント
              
この記事で分かること
- 新規求人数が多い時期は1月・2月・10月、少ない時期は6月・8月・12月となっている
- 実際の転職の成功例を知ることで、成功につながる秘訣を学べる
- 転職を成功させるコツは、OpenWorkのクチコミを上手に活用すること
最適な転職時期は、個人を取り巻く状況や転職市場の動向によって変わります。タイミング次第で有利に進められることもあれば、逆に損をしてしまう可能性もあるため、自分にとってベストな転職時期を見極めることが大切です。
そこで今回は、転職時期の重要性やおすすめの時期、成功パターンなどについて解説します。
監修者からのファーストアンサー: 転職の成功には「タイミング」と「準備」が鍵となります。今後の目標や理想の働き方を整理して、自分にとって最適な時期を見極め、早めの準備と情報収集で納得のいく転職を実現しましょう。
転職時期が重要なのはなぜ?
転職を検討するにあたり、どのタイミングで実行に移すべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
実際、転職時期は転職の成否を分ける要素の一つです。ここでは、なぜ転職時期が重要なのかについて解説します。
求人数が少なく選択肢が狭まることがある
年間を通して転職市場を見た場合、企業が積極的に採用活動を行なっている時期と、そうではない時期に分かれています。詳細は後述しますが、月によって求人数は増減する傾向にあるため、適切なタイミングを見極めることが大切です。
企業が積極的に採用活動を行なっていない時期は、当然ながら求人数が少なくなるので、転職先の選択肢も狭まってしまう可能性があります。
求人数が少ない時期に転職活動を進めた場合、自分の希望条件に合う企業が見つからない、応募者が多く書類選考を通過できないなど、不利な状況に陥ってしまうかもしれません。
また、転職活動は応募から入社まで2~3ヵ月程度かかるケースが一般的ですが、求人数が少ない時期から取り組み始めると、転職活動が長引いてしまうリスクも発生します。
半年以上経っても転職先が決まらないという場合には、転職活動が長期化しているといえるでしょう。
現職を退職してから転職活動を行なっている場合、長期化するとブランク期間が長くなるので選考でのマイナス評価につながる可能性があります。さらに、焦燥感から転職先選びでの判断力が鈍りやすい、生活が不安定になりやすいといった問題も生じるため、長期化はできるだけ避けたいところです。
ボーナスや退職金を受け取れない可能性がある
転職時期によっては、ボーナスや退職金が支給されない可能性もあります。これらのお金をきちんと受け取りたいなら、然るべきタイミングで転職しなければなりません。
ボーナスの支給時期は6~7月頃および12月頃が一般的ですが、企業によって異なります。支給条件も一律ではないため、あらかじめ就業規則を確認しておくことが大切です。
また、現職での勤続年数が3年未満の場合、退職金を一切もらえないケースも少なくありません。
一方、厚生労働省が公表している「令和5年就労条件総合調査「退職給付(一時金・年金)の支給実態」」によれば、退職金制度を設けている企業の割合は74.9%なので、3割弱の企業はそもそも退職金自体がないことも覚えておきましょう。
繁忙期と重なると転職活動がしづらい/円満退職が困難に
現職の繁忙期にあたるタイミングで転職活動を始めた場合、応募書類の準備や面接対策のための時間を十分に確保できない可能性もあります。そのような状況で良い成果を出すことは難しく、かえって転職活動が長期化してしまうかもしれません。
また、従業員が転職する場合、企業は業務の引き継ぎや各種保険の手続き、離職票の発行などに追われることになります。
しかし、繁忙期と転職活動が重なった場合、ただでさえ忙しい時期に上記の業務が発生するため、企業側から「このタイミングでの退職は困る」と引き止められるかもしれません。
仮に退職届が受理されたとしても、現職の上司や同僚が不満を抱いてしまう可能性もあります。そうなると円満退職は難しくなるため、今後も良好な関係を維持したいなら、繁忙期を避けて転職活動を始めることが大切です。
転職におすすめの時期はいつ?月別の求人数・転職者数の推移
厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況(令和6年)」によれば、新規求人数が多い時期は1月・2月・10月で、逆に少ない時期は6月・8月・12月となっています。

出典:一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)|厚生労働省
1月・2月は4月入社を見越した、新年度の組織体制および事業計画に基づく増員が目的と考えられます。多くの企業が積極的に採用活動を行なう関係上、求人数・採用人数が大きく増えるうえ、業種・職種の選択肢も広がるため、転職希望者にとって絶好のチャンスです。
10月は一般的に下期がスタートする時期なので、人員補充や新規プロジェクトの立ち上げに合わせて、企業が新たに求人募集をかけていると想定されます。
ただし、下期の採用選考は上期に比べると、即戦力で活躍できる人材が求められる傾向にあるので、未経験の業種・職種への転職はやや難しくなるかもしれません。
一方、4~5月にかけては新入社員研修が始まる時期なので、企業の組織体制も落ち着いてきます。それにともない、求人数は減ってしまうため、上期に入社するなら1月・2月が勝負どころです。
そして、6月・8月はゴールデンウィーク明けや夏期休暇、12月は年末休暇と被る時期なので、求人数も減少する傾向があります。
ここで述べてきた求人数が増える時期・減る時期は、あくまで一般的な傾向ですが、求人数が多い時期のほうが自分に合った転職先を見つけやすいため、転職にはおすすめのタイミングです。
しかし、有利な時期が来るまで座して待つだけでは、魅力的な求人やスカウトを逃してしまう可能性もあるので、早めに準備することも重要となります。
また、採用活動は企業にとっても負担が大きく、業界によっては繁忙期に採用活動を減らすケースもありますが、繁忙期にあたるタイミングも業界ごとに異なります。
例えば、IT業界の場合、年度末の1~3月や上期末の9~11月、入退職者が多い3~4月に繁忙期を迎えるケースがよく見受けられます。
小売業だと歳末セールを行なう12月、決算セールを行なう3月が繁忙期ですが、特に12月は年末商戦で売上が大きく伸びる時期なので、採用活動の優先度は下がりやすいでしょう。
専門家アドバイス: 転職を成功させるには、求人数が増加する1〜2月や10月を狙った活動が効果的です。ただし、実際の選考に備えるためには、その数ヶ月前から準備を始める必要があります。例えば、企業の採用活動が本格化する年明けを狙うなら、年末までに自己分析や応募書類の作成を終えておきましょう。業界研究や面接対策を早めに進めることで、他の応募者との差別化に取り組めます。タイミングだけでなく、準備の質が結果を左右する点も忘れないようにしましょう。
転職時期を決めたらOpenWorkを活用して情報収集を行なおう
転職時期を決めたら、国内最大級の規模を誇る就職・転職のための情報プラットフォーム「OpenWork(オープンワーク)」を活用し、希望する転職先の情報収集を始めましょう。
ここでは、OpenWorkを使った情報収集について解説します。
クチコミから企業のリアルをチェック
OpenWorkでは、さまざまな企業のクチコミを閲覧可能です。その企業で実際に働いたことがある社員・元社員の生の声を掲載しているので、求人には載っていない企業のリアルな実態がわかります。
「ワーク・ライフ・バランス」や「入社理由と入社後ギャップ」など、クチコミをカテゴリ別にチェックできるため、自分が知りたい情報にフォーカスしやすい点も魅力です。
投稿されたクチコミを一部ピックアップして紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ワーク・ライフ・バランス 平日は、本人および上司次第。土日は基本的に確保される。平日はプライベートの予定を犠牲にせざるを得ないこともあるが、うまくやりくりしている人もいる。上司によっては、適切なタイムラインで成果を上げていればその過程を重視しない人も多く、例えば翌朝までにちゃんと終わっていれば、平日夜でもプライベートな予定を優先させていても問題ない、というケースが多い。
この社員クチコミを見る >>入社理由と入社後ギャップ HRのプロとして、専門性を深めたかったから。また、ビジネスだけでなく、アカデミックな手法も取り入れながら顧客への価値提供を行いたかったから。入社理由は妥当だったと思います。アカデミックな視点に関しては、実際に働きながら大学院で勉強している社員もおり、ワークス研究所との連携も進んでいるので。
この社員クチコミを見る >>女性の働きやすさ: どの部署でも男女平等に仕事が割り振られ性別によるビハインドはないため女性で管理レイヤーについている方も多いことは事実。そのため女性もやりがいを持って働きやすい環境ではあると言えるが働き続けられる環境かと言われると難しい部分もある。スタートアップ企業のため基本業務は多忙のため子育て世帯には家族の協力、理解がないと理想のキャリアを歩めない可能性もある。
この社員クチコミを見る >>また、OpenWorkの企業ページでは、「社員による会社評価スコア」を閲覧できます。「社員たちは会社をどう評価しているか?」という点について、項目別のスコアとレーダーチャートでわかりやすく提示しているため、転職活動に役立つデータを一目で確認することが可能です。

また、OpenWorkには求人検索機能もあります。職種・勤務地・年収はもちろん、会社評価スコアの総合評価やリモートワークの可否といった条件での検索、フリーワード検索にも対応可能です。

さらに、登録している履歴書を元に企業から求人スカウトも届きます。
スカウトが届いた企業のクチコミを見ることで、よりその会社のリアルな情報を知ることができます。
社員・元社員への質問を投稿
OpenWorkでは、企業情報ページから今その企業で働いている社員に対し、質問を投げかけることも可能です。
例えば、以下のような質問で社員のリアルな声が聞けるので、企業選びとして活用できます。
- 有休が取りにくい雰囲気はありますか?
- 評価制度はしっかり運用されていますか?
- 転勤を断ることはできますか?
また、特定部門における残業時間の実態など、より踏み込んだ内容についても気軽に質問できます。応募前や入社前に知っておきたい情報を把握できるため、企業を選考するのに非常に有用です。
まずは無料ユーザー登録(1分)転職の時期に関するよくある質問
転職時期の重要性やおすすめの転職時期について解説してきましたが、まだまだ転職に関する疑問も多くあるかもしれません。
そこで、転職時期に関するよくある質問をいくつか取り上げて紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
Q.「ボーナス」をもらってから辞めるのはアリ?
ボーナスは算定期間の勤務実績に基づき支払われるものです。基本的にボーナスの支給要件を満たしている場合、それをもらった直後に退職しても何ら問題ありません。
ただし、ボーナスをもらうことばかり考えながら転職時期を決めると、転職に適したタイミングを逃してしまうリスクが発生する可能性があります。例えば、7月にボーナスが支給される場合、転職時期が求人数の少ない8月以降にずれ込みやすくなるため、退職のタイミングを調整したほうが無難かもしれません。
ボーナスの支給要件・支給時期は就業規則で定められているので、あらかじめチェックしておきましょう。
なお、円満退職を実現したいなら、ボーナスをもらったあとに転職の意思を伝えるのも一案です。
Q.残った「有給休暇」をしっかり消化するには?
基本的に有給休暇は、労働者が請求する時季に自由に取得できます。有給休暇は労働基準法に基づいて労働者に与えられている権利なので、原則として企業側は有給休暇の申請を拒否できません。
ただし、繁忙期に有給休暇を取るなど業務に支障が生じる場合、企業は「時季変更権」を行使することで、労働者に有給休暇取得時季の変更もしくは調整を要求できます。
さらに、労働基準法では付与日から2年経過した場合、時効によって有給休暇は消滅すると定められています。そのため、退職にあたって有給休暇をしっかり消化したいなら、まずは就業規則を確認したうえで、有給休暇の残日数を把握することが大切です。
また、退職するからといって無理やり休めば、関係の悪化につながります。退職日・最終出社日・引き継ぎのスケジュールなどを上司と共有しつつ、きちんと合意を得てから有給休暇の申請を行ないましょう。
Q.勤続年数が短い(例:1年未満)のですが、転職しても大丈夫ですか?
勤続年数1年未満での退職は、一般的に「短期退職」と認識されます。転職市場において短期退職はネガティブなイメージが強く、選考時に「採用してもすぐ辞めてしまうのでは?」と懸念を抱かれる要因になりかねません。
ただし、以下のように明確でポジティブな転職理由があり、なおかつきちんと説明できるなら、あまり問題視されないケースも多いため、実際は転職先の判断次第です。
- スキルアップのため(将来のキャリアビジョンに必要な専門性を高め、より高いレベルで価値を発揮したいと考えた)
- どうしてもやりたい仕事があるため(入社後に情熱を持てる分野が明確になり、早期にその道に進む決断をした)
- 実力主義の職場で働きたいため(自分の努力や成果が評価される環境で力を試したいと感じた)
また、各種ハラスメントや劣悪な労働条件など、やむを得ない理由で退職した際も同様、その事実をしっかり説明すれば、転職先の理解を得ることができます。
転職前の経験から何を学び、それを次にどう活かしたいか伝えられるかどうかが大切です。
Q.年齢によって転職の難易度は変わりますか?
年齢によって企業が期待するスキルや経験は変わるので、転職の難易度も変動します。「20代」「30代」「40代以降」に分類しつつ、それぞれ難易度にかかわる要因をまとめました。
20代はポテンシャルや柔軟性、学習意欲が重視される傾向にあります。未経験の分野にもチャレンジしやすい時期ですが、20代後半になるとある程度スキルや実績も要求されるため、しっかりアピールしたいところです。
30代は即戦力として活躍できるだけのスキルや経験、マネジメント能力などが求められます。キャリアの方向性を固めつつ、専門性を高めていく時期ですが、30代前半なら未経験の分野でも転職のチャンスはあります。
40代以降は高度な専門性やマネジメント経験、リーダーシップなどが重要視されます。実績や人柄も評価されるため、アピール内容や面接での伝え方に注意したいところです。
基本的に年齢が上がるほど専門性や実績を問われる傾向にありますが、どの年代でも転職に成功している方は多く見受けられます。
まとめ:自分に合った転職時期で転職を成功させよう
転職市場には採用活動が活発な時期と、そうではない時期があります。転職のベストタイミングは、市場動向(求人数が多い時期)と個人の事情(ボーナスや繁忙期など)のバランスで決まるため、両者を踏まえて自分に合った転職時期を見出したいところです。
ただし、個人の事情に固執しすぎると、せっかくの機会を逃してしまう可能性もあります。そのため、ボーナス・繁忙期・有給休暇の消化などを考慮しつつ、計画的なスケジュールを立てることが大切です。
また、転職の成功パターンからノウハウを学び、早めに情報収集や準備を始めること、柔軟な対応を心がけることも重要となります。焦らず計画的に行動し、自分にとって最適なタイミングで納得のいく転職を実現しましょう。
理想の転職に向けて情報収集を行なうなら、クチコミや求人評価を多数掲載しているOpenWorkもご活用ください。
専門家アドバイス: 転職の成功には「タイミング」と「準備」が鍵となります。求人数が増える時期を狙った転職活動は有効ですが、自分のキャリアプランやライフイベントとのバランスも考慮しなければなりません。今後の目標や理想の働き方を整理したうえで、将来を見据えた行動計画を立てることが重要です。本記事を参考に、自分にとって最適な時期を見極め、早めの準備と情報収集で納得のいく転職を実現しましょう。
専門家プロフィール
 
              隈本稔
                  ■資格
                  国家資格キャリアコンサルタント
                  
                  ■プロフィール
                  長崎大学大学院生産科学研究科を修了。その後、大日本印刷株式会社と東レ株式会社にて、製品開発・生産技術職に従事。2018年から、経営・キャリアコンサルタントとして長崎を拠点に企業の業務効率化、人材戦略立案、チームビルディング、集客サポートなど、経営改善や人材の有効活用に関するコンサルティングを行っている。