転職に失敗したらどうすべき?みんなの失敗談・対処法と再転職成功のポイントを解説
監修者
岡 佳伸
■資格
特定社会保険労務士
国家資格キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
この記事でわかること
- 転職後のミスマッチを防ぐには、よくある失敗例をもとに対策を講じることが大切
- 「現在の状況から逃げたい」「情報収集が甘い」「転職が目的となっている」方は転職活動に失敗しやすい
- 再就職を成功させるには、転職で実現したいことや理想のキャリアプランを明確にするとともに、転職エージェントのサポートを受けるのがおすすめ
新たな環境や成長を期待して転職したものの、「こんなはずではなかった」「前の会社のほうが良かった」と感じてしまうことがあります。転職に失敗すると落ち込みがちですが、そこでキャリアが終わってしまうわけではありません。大切なのは、気持ちを切り替えて失敗した原因を分析し、どう対処するかを考えることです。
この記事では「転職に失敗した」と感じる理由を紹介したうえで、転職の失敗でありがちな原因や失敗したときの対処法、成功させるためのポイントなどを解説します。
監修者からのファーストアンサー:
転職に失敗したと感じたときは、焦って再転職へと突き進むのではなく、まずは立ち止まって自分の価値観や適性、理想の職場環境をしっかり見直すことが大切です。現職への不満を解消することが"目的"にならないよう、自己理解や企業理解を深め、長期的な視点で考えて行動しましょう。
また再転職を急ぎすぎると収入や職歴への影響も出てしまうため、法的な側面とキャリアプランの両面を踏まえて慎重に判断することをおすすめします。
転職に失敗したと感じる理由
「転職に失敗した」と感じている方は少なくありません。まずは、転職に失敗したと感じる理由を、実際のクチコミも交えて紹介します。
思っていたような仕事内容ではなかった
新しい仕事に期待を持って転職したものの、想像していた仕事内容とのギャップを感じてしまい、転職に失敗したと感じるケースがあります。期待とのギャップが大きいほど、失敗と感じる可能性が高くなるでしょう。
以下のクチコミで共通しているのが、転職先に関する事前のリサーチ不足です。業界内での転職や知り合いからの勧めなどであっても、自分の望む働き方にマッチするかどうか、あらかじめ確認しておくことが大切です。
入社理由と入社後ギャップ: 前職がつらくて辞めてしまったのだが、忙しくて転職活動をする時間はなく、受けてみた公務員試験に合格したことで逃げるように⼊社した。しかし、前職とのギャップが激しく、なかなかやりがいを⾒つけるのも難しい状況。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 会社の規模や安定性に魅⼒を感じたので、とりあえず深く考えずに⼊社を決めたが、⾃分の経験を仕事で活かせるチャンスがないと感じている。やらなければならないことと⾃分が出来ることにギャップを感じ、またこのままではスキルアップも望めないと感じたため再転職を検討することになった。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 技術⼒を買われて転職したものの、技術⼒よりもマネジメント⼒が評価される社⾵が強かったことがきっかけです。またキャリアアップのルートも実質的にマネジメント職に限られており、マネージャーとしてキャリアを積むことも考えましたが、得られるマネジメント⼒が社内でしか通⽤しないものだと気付き、転職を決めました。
この社員クチコミを見る >>給与や待遇に不満
給与アップや待遇改善を期待して転職したものの、期待どおりの給与や労働環境ではなく、転職したことを後悔するケースもあります。特に、一定時間までの残業に対しては一律の残業代が支給される「みなし労働時間制」が採用されているなど、残業の取り扱いは不満につながりやすいポイントです。
転職先を選ぶ際には契約条件を細かくチェックするとともに、自分の希望条件をしっかりと会社側に伝え、譲れない部分は契約に盛り込んでもらうようにしましょう。
以下は、給与や待遇の不満に関するクチコミです。
退職検討理由: 元々こちらに⼊社した転職理由は、前の会社からの給与アップと前の会社でやりたいことが出来ていないことでした。ただ、いざ⼊社してみると、前の会社の給与とあまり変わらず、また応募した求⼈記載の業務とは違う内容の業務を担当することになりました。こちらで現職中ですが、このような状況が続いた場合、再度転職を考えようとは思います。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 待遇不満。残業⼿当がない場合、実質⼿取りが20万程度になる。待遇⾯で満⾜出来ていない⼈は⾮常に多い。⼈件費抑制の流れは変わっておらず社員コストの圧縮は残業で⾏われる。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: とにかく給料が安い。前職より年収が100万近く落ちた。残業⼿当も出ることになっているが、みなし残業のため実質⽀給される⼈はいない。標準的な成果では定期昇給はない。標準以上の成果でようやく給与が上がるが年わずかの3000円です。ボーナスは0.4か⽉。前職の3分の1以下です。
この社員クチコミを見る >>離職率が高く常に人手不足
会社によっては、残業や休日出勤が多いことが原因となって、頻繁に社員が入れ替わっている場合があります。こうした会社では、経験のある社員が次々と職場を離れてしまうため、慢性的な人手不足に陥りがちです。
人手不足になると残された社員の業務量が膨大になり、ますます残業や休日出勤が増えるため、転職に失敗したと感じてしまいます。このような状況が解消されないと、さらに離職率が高まり、一層業務量が増えるという悪循環に陥るでしょう。
以下は、離職率に関するクチコミです。
退職検討理由: 離職率が⾼く、同時期に⼤量に⼈が辞めていくが⼈員補充をしないため、残留社員の残業時間が⼤変なことになっている。このままどうなっていくのかという不安にかられる。独⾝のうちは様々な経験を積むこともできるし、社員同⼠仲もよいので⼈間関係のストレスはなく楽しく仕事ができるが、将来家庭を持った場合を考えると続けていくには難しい会社であると感じた。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 会社全体はわからないが、私の同期の離職率は40%。将来性がないため転職を決意した。この会社でずっと働き続けられるか?と考えた時に無理だと感じた。様々なプロジェクトに唐突にとばされるため、腰を据えて仕事ができない。⾝に付けたスキルが無駄になってしまうことも多々ある。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: ⼊社後の離職率はかなり⾼いと思う。⼊社3年以内の退社がすごく多く理由は希望したポジションに⼊ったが⾃由に動けない、違う仕事を⾏っているなどのミスマッチが多い。上司は部下がたくさん辞めてもあまり気にしていない様⼦。2年以内で10⼈以上はやめている。
この社員クチコミを見る >>社風が合わない
仕事内容や待遇が期待どおりでも、社風やほかの社員との相性が合わず、転職に失敗したと感じるケースも見られます。たとえ前職と同業であっても、会社が違えば社風は大きく異なります。
転職前に社員の様子を把握するのは難しいかもしれませんが、社風をある程度リサーチすることは可能です。周囲の評判やクチコミなどを参考に、自分が働きやすい社風かどうか、あらかじめ見極めることをおすすめします。
以下は、社風に関するクチコミです。
退職検討理由: 望んだ仕事を続けていくのが難しいと思ったから。また前職と⽐較すると⾮常に癖のある社⾵に感じた。その社⾵に合わせ⻑く働いていくことが⾃分には難しいと思ったため、転職を考えた。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 真⾯⽬過ぎる企業体質に馴染めませんでした。仕事をする上でもう少し気兼ねなくやり取りしていた前職になれていたため、とても窮屈な社⾵でしたのでもっと働きやすい環境に⾏きたいと思って退職しました。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 社⾵が合わず退職しました。挨拶を重視しているのは⾮常に良いことですが、度がすぎるのと、会議が⻑すぎる。また、契約内容もよく確認されないまま働かされるというのは、不信感を煽ります。後々に給与明細をもらってから、みなし残業含む給与だと知りました。⼊社早々に退職を決めました。
この社員クチコミを見る >>なぜ転職に失敗してしまうのか?4つのおもな原因
期待や希望を胸に転職したにもかかわらず、なぜ失敗してしまうのでしょうか。ここでは、転職の失敗を引き起こす4つのおもな原因を解説します。
自己分析が不足している
新卒の就職活動において重要とされる自己分析は、転職活動においてももちろん重要です。
「転職すれば何かが変わる」と信じるあまり、目的が定まらないまま転職活動を進めてしまうと、企業選びの軸がずれてしまいます。
今とは違う環境を求めて、未経験の業界や業種に転職したものの、転職後に自分の性格や強みに合わないと感じるようになり、転職を後悔するケースもあるでしょう。
目的や動機が曖昧なままの転職活動は、キャリアコンサルタントや人事担当者の意見に流されがちです。他人の意見に流されて「なんとなく良さそうだから」という理由で転職先を選んでしまうと、転職に失敗するリスクが高まります。
専門家アドバイス: 自己分析では「過去の経験」「得意なこと」「価値観」の3点を丁寧に振り返ることが重要です。職務経験だけでなく、何にやりがいを感じたか、どんな環境で力を発揮できたかを具体的に言語化しましょう。また、他人の評価も参考にしつつ、自分なりの判断軸を持つことで、転職後のミスマッチを防ぐことにつながります。
企業研究が不足している
転職活動において、自己分析と並んで大切なのが企業研究です。転職先を決める前に、企業ごとの強み・弱み、業界の特徴、残業の有無、給与・待遇面の状況など、気になる点を細かくチェックして比較する必要があります。
しかし、現状の不満の解消を目的とする転職活動では、不満が解消できることだけを重視して企業を選んでしまいがちです。その結果、実際に働き始めてから想定とのギャップに気付くケースも少なからずあります。
不満の解消ばかりに目を向けるのではなく、働き手として気になる労働条件、職場環境、福利厚生、社風、教育制度の充実度などを徹底的に調べ、複数の面から見て総合的に判断することが大切です。
専門家アドバイス: 企業研究では「理想の働き方」と「現実の企業風土」とのギャップを見抜く視点が重要です。企業HPや口コミサイト、IR情報、社員のSNS発信や日本年金機構の厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システムなど複数の情報源を活用し、表面的な魅力に惑わされずに調べましょう。特に労働時間や評価制度、定着率など、実態に直結する項目を重点的に比較すると、入社後の後悔を防げます。
妥協して転職してしまった
転職において優先したい条件を深く考えずに妥協してしまうことも、転職の失敗につながります。
例えば、前職の労働環境や人間関係に我慢ならず、先に退職してから転職活動を始める場合などは要注意です。預貯金が減っていく焦りのなか、とりあえず職に就きたいと考えた結果、転職先を妥協して選んでしまうケースが少なくありません。
妥協して選んだ転職先の場合、ミスマッチが起こりやすくなります。そのため、お金や心に余裕を持った状態での転職活動を心がけ、自分にとって優先すべき条件を吟味する必要があるでしょう。
失敗ではないのに失敗したととらえてしまうから
「失敗は成功のもと」という言葉もあるように、転職での失敗は、その後の成功のきっかけの一つに過ぎないと考えることも可能です。例えば、ある転職のプロは次のように語っています。
「成功と失敗はちょうどオセロみたいなもので、最後の1回が成功したらそれまでの失敗はみんな失敗じゃなくなるんですよ」
転職アドバイスやコンサルティングを行なう田端信太郎氏 より
先ほど紹介したクチコミのように、転職で失敗したと感じる方は決して少なくありません。
大切なのは、たとえ「転職に失敗したかもしれない」と感じても、その経験を糧に次の転職へと気持ちを切り替えることです。
うまくいかなかった経験を活かして、再度転職にチャレンジすれば、次こそ自分の希望に合った転職先に出会えるかもしれません。
ただし、致命傷になるレベルの失敗はリスクがあるため、転職前の入念な準備はやはり大切です。準備の際は、OpenWorkのクチコミをチェックして、転職先に関するリアルな情報を収集するとよいでしょう。
「大切なのは1回目に、ゲームオーバーになるような致命傷を負わないこと。いきなり崖から飛ぼうとすれば死ぬに決まっているんですから」
転職アドバイスやコンサルティングを行なう田端信太郎氏 より
【セルフチェック】転職に失敗しないためのチェックリスト
このチェックリストは、転職を成功させるための重要な要素を網羅しています。チェックが少なかった項目は、あなたの転職活動における弱点かもしれません。以下のポイントを参考に、活動全体を見直してみましょう。
- 転職の目的(なぜ転職したいのか、何を実現したいのか)を明確にした
- 転職の目的が複数ある場合、それらに優先順位をつけた
- 転職後のキャリアプラン(数年後どうなっていたいか)を具体的にイメージした
- 自分の強み・スキル・経験を客観的に把握し、言語化できるようにした
- 自分の価値観(仕事で何を重視するか)を理解し、転職の軸とした
- 複数の企業をリストアップし、客観的な情報に基づいて比較検討した
- 企業の公式サイト、求人情報だけでなく、社員の口コミや業界情報も参考にした
- 企業の理念や文化、事業内容、将来性について深く理解しようと努めた
- 応募する企業の仕事内容が、自分のスキルや経験を活かせるものか確認した
- 面接の場で、給与・労働時間・福利厚生など、聞きにくいこともしっかり確認した
- 転職活動に十分な期間(情報収集、準備、応募、選考)を確保した
- 可能な限り、在職中に転職活動を進め、焦らずに判断できる状況を作った
- 転職の目的や優先順位に沿って、安易に条件を妥協しなかった
- 家族や信頼できる人に転職について相談し、客観的な意見も参考にした
- 面接対策(自己PR、志望動機、逆質問など)を十分に行った
自分自身を深く理解することが、転職活動の全ての土台となります。「なぜ転職したいのか」「将来どうなりたいのか」「何が得意で何を大切にしたいのか」を明確にすることで、ブレない「転職の軸」が定まり、入社後のミスマッチを根本から防ぐことができます。
応募する企業を徹底的に分析することが、入社後のギャップを防ぎます。公式サイトや求人情報だけでなく、口コミや業界ニュースなど多角的な視点で情報を集めましょう。面接は自分をアピールするだけでなく、企業の実態を見極める絶好の機会です。疑問点は遠慮なく質問し、納得した上で判断することが重要です。
転職活動そのものを計画的に進めることも欠かせません。「早く決めたい」という焦りは、不本意な妥協に繋がりがちです。十分な準備期間を確保し、信頼できる人に相談しながら、冷静に判断を下せる状況を作りましょう。
専門家アドバイス: このチェックリストは、転職を「感情」ではなく「戦略」として捉えるための優れた視点です。特に、自己理解・企業理解・準備期間の3点を軸に計画的に動くことが成功の鍵です。チェックが甘い項目は要改善ポイントとして、具体的な行動(例:キャリアの棚卸し、OB訪問、模擬面接)に落とし込んで対策しましょう。焦りや勢いだけで決断しないことが、後悔のない転職につながります。
転職に失敗したと感じたときの対処法
転職に失敗したと感じる方のなかには、再度転職することにとまどいを覚える方もいるかもしれません。しかし、そのような心配は無用です。
厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、転職者に今後の転職希望についてたずねたところ、21%の方が「機会があれば転職したい」と回答しました。一度転職しても、再度転職を希望する方は一定数いるのです。
ここでは、再転職も含め、転職に失敗したと感じたときの具体的な対処法を解説します。
対処法(1):現職で状況改善を試みる
転職に失敗したと感じたとき、最初に取り組むべきなのは、現職における状況改善です。現職で感じている不満の原因を明確にし、その原因を解消できれば、いつしか「転職して良かった」と思えるかもしれません。
即時対応:不満の原因を特定し、信頼できる人に相談する
まずは、転職に失敗したと感じる具体的な理由を、紙に書き出すなどして可視化します。仕事内容、人間関係、給与や待遇など、不満を生む原因は人それぞれです。
原因が特定できたら、社内の信頼できる上司や同僚、あるいは社外のキャリアコンサルタントなどの第三者に相談し、客観的な意見を求めましょう。
自分一人で不満な気持ちと向き合っていても、それが一時的な感情なのか、構造的な問題なのかを見極めるのは困難です。第三者に意見を求めることで、不満解消に向けて取るべき対処法の方向性が見えてくるでしょう。
短期対応(1~3ヵ月):異動や待遇改善の可能性を探り、スキルアップに取り組む
不満の原因が仕事内容や人間関係にあるなら、同じ社内でも働く環境を変えることで、不満解消につながる可能性があります。上司との面談を設定してもらい、部署異動や担当業務の変更が可能か打診してみましょう。
また、自分自身が成長することで、任せてもらえる業務の幅が広がったり、給与や待遇が改善したりするかもしれません。現在の業務で成果を出せるよう、必要なスキルや知識を短期集中で習得することも効果的です。
中長期対応(3ヵ月~1年):キャリアプランを見据え、会社に具体的な働きかけを行なう
環境の変化を求めつつ、必要なスキルや知識を高めるといっても、闇雲に続けているだけでは状況の改善は見込めません。
半年後や1年後の「こうありたい自分像」を具体的にイメージし、そのために現職で必要なことや習得すべきことを考えましょう。目標の解像度を上げるほどやるべきことが明確になり、不満を解消できる可能性が高まります。
会社に対しては、定期的なキャリア面談などを通じて、継続的に自身のキャリアプランを伝え、部署異動やより責任をともなう業務への挑戦を希望しましょう。こうした流れを繰り返していけば、自分がやりがいを持って働ける環境を少しずつ構築できるかもしれません。
対処法(2):計画的な再転職活動を始める
現職での状況改善が難しいと判断した場合、再転職を試みることになります。今回の転職の経験を活かして、より慎重かつ計画的な再転職活動を進めるアプローチを見ていきましょう。
即時対応:今回の転職で失敗した原因を徹底的に分析する
まず、今回の転職で失敗した原因を客観的に分析することが大切です。失敗の原因を十分に分析しないまま再転職活動を進めてしまうと、また同じ失敗を繰り返す恐れがあります。
例えば、事前の情報収集が不足していたのか、自己分析が甘かったのか、面接で確認すべきことを見落としたのか、契約内容に問題点があったのかなど、失敗の原因をなるべく具体的に洗い出しましょう。
短期対応(1~3ヵ月):情報収集を行ない、次の企業選びの軸を明確にする
失敗の原因を洗い出したら、OpenWorkなどの転職クチコミサイトで、業界の傾向や企業のリアルな情報を多角的に収集します。特に、各サイトに掲載されている「入社後ギャップ」や「退職理由」などのクチコミは参考になるでしょう。
今回失敗した反省を踏まえ、次の企業選びで絶対に譲れない条件や、重視するポイントを明確にすることも重要です。企業選びの軸をしっかりと定め、その軸とクチコミを比較していくと、自分の希望にマッチする企業を見つけやすくなります。
中長期対応(3ヵ月~半年):失敗体験を糧に慎重に行動する
準備が整ったら、いよいよ再転職に向けて応募・選考過程に入ります。ここで大切なのが、今回の転職経験をネガティブなものとしてではなく、自己成長の機会としてポジティブにとらえてアピールすることです。
面接では、転職理由について必ずといって良いほど聞かれます。成長したいというポジティブな動機をうまく伝えられるよう、事前に準備しておきたいところです。
なお、短期間での再転職は不利に働く可能性もあります。そのため、転職ありきで考えるのではなく、じっくりと情報収集と自己分析を続け、「ぜひここで働きたい」と思える企業が見つかるまで現職を続けることも視野に入れましょう。
対処法(3):休職・退職して心身の回復と自己理解を深める
転職の失敗による後悔やストレスが心身に大きな影響を与えているのであれば、思い切って一度仕事から離れるのも一つの選択肢です。仕事を忘れてリフレッシュし、自分自身と向き合う時間を作りましょう。
即時対応:心身の不調を最優先にケアし、専門機関にも相談する
「仕事を頑張らなければ」という思いが強い方ほど、心身の不調を放置したまま、無理して自分を追い込んでしまいがちです。
仕事が原因で不眠、食欲不振、気分の落ち込みなどの不調が続く場合は、無理をせず、心身を休ませることを最優先にしましょう。
自分だけで抱え込むのではなく、必要であれば心療内科やカウンセラーなどの専門機関に相談し、適切なアドバイスや治療を受けることも検討してください。専門機関への相談に抵抗を感じる場合は、会社の産業医に相談するのも有効です。
短期対応(1~3ヵ月):自己分析を通じて本当にやりたいことを見つめ直す
専門機関に相談して、休養を取る必要があるということになれば、休職して心身を十分に休めましょう。休職中は給与の支給が無い会社がほとんどですが、健康保険に加入している場合、傷病手当金の支給対象になります。
最初のうちは心身の疲れを癒すことに専念し、状態が落ち着いてきたら、自分自身を見つめ直す機会を設けます。これまでのキャリアを振り返り、自分の価値観や強み、本当にやりたいことなどについてじっくり考えましょう。
期間で区切るのではなく、心身の疲れが取れ、考えが整理できるまで、ゆっくり休むことが大切です。
中長期対応(3ヵ月~):理想の働き方を描き具体的なプランを立てる
自己分析で「ありたい姿」が確認できたら、そこから逆算して、自分にとって理想の働き方や仕事内容とはどのようなものかを具体的にイメージします。必要なスキルや知識の習得、資格取得、転職に関する情報収集など、次のステップに向けた具体的な行動計画を立てましょう。
検討した結果、現職での状況改善に取り組むという選択肢もあります。また、前職を辞めたことを後悔しているのであれば、前の上司に相談するなどして前職に出戻りするのも一つの方法です。
転職に失敗したと思ったら実践したいメンタルケア3選
多くの方にとって転職は一大決心です。だからこそ、転職に失敗すると想像以上に落ち込むこともあるでしょう。失敗によるストレスは心身を蝕み、日常生活にも影響を与えます。気分の落ち込みを感じたら、まずはメンタルケアに努めることが大切です。
ここでは、自分でできるメンタルケアの方法を3つ紹介します。
感情を受け入れる・自分を責めすぎない
メンタルケアの第一歩として、「失敗した」と感じる気持ちを否定せず、まずは自分で認めることが大切です。自分で自分を責めると、焦りばかりが募ってますます心身を傷つけてしまいます。完璧な転職などなく、失敗は誰にでも起こり得ることと理解しましょう。
今の気持ちを客観的にとらえるためには、今起きている「事実」や、それに対して自分が「どう感じているのか」を書き出すのが有効です。実際に自分の手を動かし、苦しい気持ちを可視化することで、心の中を客観的に整理できます。
信頼できる人に話す・相談する
悩みをほかの人に聞いてもらうだけでも、思考がクリアになり、心が軽くなることがあります。家族、友人、パートナーなど、心から信頼できる相手に悩みを打ち明け、相談してみるとよいでしょう。ただし、相手に解決を求めすぎないことが大切です。
信頼できる人に話しても一向に心身の不調が治らないときには、医師やカウンセラー、キャリアコンサルタントなどの専門家に相談することも検討しましょう。厚生労働省が提供する「こころの耳相談」など、公的な相談窓口を活用するのも有効です。
心身を休める時間を意識的に作る
睡眠や食事、休息などが不足していると、物事をマイナスにとらえてしまいがちです。気分が晴れない状態が続くようであれば、心身を休める時間を意識的に作るようにしましょう。
仕事終わりや休日など、趣味やリラックスできる活動を行なうと、ネガティブな気分を発散してリフレッシュできます。スポーツや音楽など、仕事以外に充実感を得られることを見つけておくのもおすすめです。
ここまで紹介したセルフケアを実践してもなかなか改善しない場合は、迷わず心療内科を受診したり専門家に相談したりしましょう。
転職再チャレンジを成功させる3つのポイント
一度転職したものの「失敗した」と感じている方に向けて、再転職を成功させるための3つのポイントを紹介します。失敗や後悔を繰り返さないために、以下の点を意識しましょう。
失敗原因を深掘りして自己分析をやり直す
「今の会社はなんとなく合わないから、転職で環境を変えよう」と、曖昧な動機で再転職するのはおすすめしません。先述のとおり、失敗した原因をうやむやにしたまま再転職にチャレンジしても、同じ失敗を繰り返してしまうリスクがあります。
今回の失敗を次なる成功につなげるためには、なぜ転職に失敗してしまったのか、その原因を丁寧に深掘りすることが大切です。
あらためて自己分析を行ない、自分の大切にしたい価値観、スキルセット、市場価値などを正確に把握しましょう。信頼できる家族や友人に話を聞いて、自分の強みを客観的に整理するのも効果的です。
自己分析の結果から、将来なりたい自分の姿をイメージし、そこから逆算して中長期的なキャリアビジョンを立てておきましょう。
企業研究の質を高める
職場環境のギャップで悩みを抱えている方の多くは、事前の企業研究不足と考えられます。
企業研究にあたっては、表面的な情報だけでなく、社風や具体的な業務内容、労働条件なども詳しく調べることが大切です。
企業の公式サイトをくまなく確認するとともに、求人サイトのクチコミなどもチェックしながら、企業情報を徹底的に収集しましょう。
特に参考になるのが、実際にその企業で働いている人や過去に働いていた人のクチコミ情報です。企業に勤める人のクチコミを調べたいならOpenWorkがおすすめです。
企業文化、働きがい、企業の強み・弱み、退職検討理由など、実際に働いている人しかわからないリアルな声の数々は、情報収集にとても役立ちます。
気になる企業に応募したら、業務内容などの不安点を面接時に確認しましょう。また、内定から入社までの間にもらう労働条件通知書にもしっかりと目を通し、疑問を解消しておくことで入社後のギャップを小さくできます。
転職の条件を明確にして妥協しない
とにかく早く転職したいからといって、企業選びを妥協すると、転職先でも不満を感じて失敗を繰り返すことになりかねません。自己分析を通して、ここだけは譲れないという条件を明確にしておきましょう。
ただし、希望条件をすべて叶えられる企業というのはほぼ存在しません。そのため、洗い出した希望条件に優先順位をつけておくことも大切です。優先順位の高い条件を満たしている企業を選ぶことで、満足のいく転職を実現できる可能性が高まります。
また、妥協しない転職活動には時間が必要です。現職に不満があったとしてもすぐに辞めず、状況改善や自身のスキルアップを図りながら、条件に合った企業が見つかるまでじっくりと取り組みましょう。
まとめ:転職に失敗したと感じたら真の原因を特定し自身に合った対策をすることが最も重要!
転職の失敗は誰にでも起こり得ることです。転職に失敗したと感じたら、再転職を急ぐのではなく、まずは失敗の原因を十分に探りましょう。原因がわかれば最適な対処法もわかり、現職を続けるべきか、再転職にチャレンジすべきか、より正確に判断できます。
再転職を選択するのであれば、転職の失敗原因に合わせた事前の対策が不可欠です。企業研究の精度を高め、譲れない条件を満たす企業を見つけるには、実際に働く社員のクチコミをチェックすることをおすすめします。
気になる企業のリアルなクチコミ情報を確認するには、OpenWorkをぜひご活用ください。
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専門家アドバイス:
転職活動においては、「現職の不満を解消すること」自体が目的化しないよう注意が必要です。満足できる転職を実現するには、自己理解と企業理解を深めたうえで、長期的な視点を持って準備を進めることが大切です。焦らず冷静に「自分は何を大切にしたいか」「どのような環境で力を発揮できるか」を見極め、チェックリストを活用して行動の見直しや優先順位づけを意識しましょう。それが成功への第一歩となります。
また、転職に失敗した後の再転職を急ぎすぎると、自己都合退職による雇用保険の基本手当の給付制限により収入が途絶えることや次回選考時の職歴評価に影響することがあります。場合によっては「早まった離職」がキャリアにとってデメリットになるケースもあります。迷った時は、社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどの専門家に相談し、法的な側面とキャリアプランの両面を踏まえた判断を行うことをおすすめします。
専門家プロフィール
岡 佳伸
■資格
特定社会保険労務士
国家資格キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
消費生活アドバイザー
他資格60種類取得済み(行政書士、宅建、貸金業務取扱主任者有資格者等)
■プロフィール
グッドウイル、カヤバなどで人事労務を担当した後に、厚生労働事務官(ハローワーク勤務)雇用保険業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会講師及び新聞、週刊誌等に取材記事掲載、NHKあさイチTVスタジオ出演。