仕事が合わない8つの理由とサイン|働き続けるリスクと対処法
監修者
隈本稔
■資格
国家資格キャリアコンサルタント
この記事でわかること
- 仕事が合わないと感じる理由には、仕事内容や業界、人間関係などが合わないことなどが挙げられる。
- 合わない仕事を続けていると、過剰なストレスで心身の健康を害するおそれがある。
- 転職を検討する場合は、再びミスマッチが起きないよう自己分析で合う仕事を理解することが大切。
「仕事が合わない」と感じる理由は、大きく分けて8つ挙げられます。合わない仕事を続けていると、モチベーションが低下するだけではありません。そのまま働き続けることで、心身に不調をきたす可能性もあるため、注意が必要です。
仕事が合わない場合には転職が有効な選択肢のひとつですが、自分に合った仕事に就くには、転職活動を始める前に合わない理由を見極めたうえで、適切な対処を取ることが必要です。自分に合う仕事がわからない場合には、自己分析を行ない、適性や希望するキャリアを実現できるかを判断しましょう。
監修者からのファーストアンサー: 仕事が合わないと感じたときは、自分を責めるのではなく、その原因を冷静に見つめ直す時間を持つことが大切です。本記事を通じて、自分に合った働き方や職場環境を見極め、前向きな一歩を踏み出すヒントを得ていただければ幸いです。
仕事が合わないと感じるのはなぜ?よくある8つの理由
仕事が合わないと感じる理由は人によって異なりますが、よくある理由として次の8パターンが挙げられます。経験者の意見も紹介しているので、自分がどのパターンに該当するのかを確認してみましょう。
理由①仕事内容が合わない
「創造性を活かしたいのに単調な作業が多い」「人と話すのが苦手なのに営業職」など、仕事内容が自分の性格や適性に合っていなければ、仕事が合わないと感じる原因になります。OpenWorkの調査でも、許容できないレベルでギャップを感じた理由の最多は「業務内容」でした。

採用時や配属後に、想定していた業務内容と実際の仕事内容が異なることは珍しくありません。業務を進めるうちに、自分の価値観と仕事の目的が一致しないジレンマが苦痛に変わり、仕事が合わないと感じる要因になります。
OpenWorkに寄せられた、業務内容が合わないと感じている方のクチコミを紹介します。
退職検討理由: 業務内容が自分に合わないと感じたためです。お客様に営業をかけるという点がどうしても合いませんでした。利益追求のために目標というノルマがあることは当然ですが、馴染めませんでした。いろいろ割り切って仕事できる方は問題ないかと思います。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 業務内容が自分にとって合わず、勉強する気にならないため。専門性がある分野であるが、これ以上自分にとって合わない分野に力を入れても汎用性がないので、将来を考えた際に転職が良いと思ったため。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 業務内容が自分にまったく合わないため。モノ相手に単調な作業を繰り返すのは精神的に疲れる。上司が合わない。自身の昇進しか頭にないような印象を受ける。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 業務内容が自分の適正と合わなかったためです。人間関係も割と良かったですが、定期的なルール変更についていくのに必死でした。
この社員クチコミを見る >>理由②業界が合わない
業界特有の特性や慣習などが、自分の適性に合わないケースもあります。
業界特有のスピード感や顧客層、将来性などが、自分の価値観や働き方の希望とずれていると、仕事が合わないと感じられるでしょう。
例えば、IT業界は「技術のキャッチアップが大変」、サービス業は「労働時間や体力面の負担が大きい」、建設業は「対人ストレスが多い」などの業界特性があり、業界が合わないという意見が多く見られます。成長産業であると、その変化の速さについていけないこともあるでしょう。
OpenWorkにも、「業界に合わない」と感じた方の声が多く寄せられています。
退職検討理由: 自身の力不足、IT業界自体に合わないと感じたため。会社自体はとてもホワイトで環境も良かったため、その点は少し後悔しています。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: IT業界、SEに向いていないと感じるため。業務を進めるのも時間がかかり、仕事中に自分が何もできないように感じ、もっと自分に向いている仕事があるのではないかと感じているため、転職もしくは部所異動などを検討している。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: サービス業で休日や大型連休でそのまま休みがとれるとは思っていませんが、これからの生活を考えるとなかなか厳しいものがあり、この職種は合わないと思い、離職しました。ただし、仕事では得るものも多く、わりとまめに研修や勉強会もあるため、スキルアップはしやすい環境ではあるし、悪くはないと思いますが、基本体力がないともたない仕事ではあります。
この社員クチコミを見る >>組織体制・企業文化: いわゆる体育会系の業界。合わない人はとことん合わないので新卒で入社しても1週間で辞めてしまうこともよくある光景です。
この社員クチコミを見る >>理由③勤務形態が合わない
勤務形態がライフスタイルと合わない場合も、仕事が合わないと感じる要因です。
夜勤や不規則なシフト、長時間労働、休日出勤などが常態化すると、自分の生活リズムやプライベート時間との両立が難しくなります。ストレスにつながるだけでなく、体調不良や孤立感の原因にもなるでしょう。
特に、早朝から深夜まで稼働する鉄道会社や製造業、ホテルなどの宿泊業では、夜勤や交替勤務であることが多く、勤務形態が合わないという意見が多く見られます。
OpenWorkにも、「勤務形態が合わない」という声が多く寄せられています。
退職検討理由: 交替勤務が身体に合わないことと、残業時間の多さ、仕事内容の負担を感じ体調を崩し始めたので結婚を機に退職を検討しています。育休、産休まではと思っていましたが子供を望めるほどの余裕を持てないので仕事を離れるほかないなと思いました。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 勤務形態や仕事内容が自分には合わなかったため。勤務形態がどうしても泊まりの勤務になってしまうので予定などが立てづらい、また休日なども固定ではなく3ヵ月ごとに移動する形だった。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 夜勤と日勤の繰り返しで現場に泊まることが多々あり、体調を崩したため。それを担当の営業にいっても工期の都合上すぐには無理と言われ、欠勤をするしかなかったため。自分以外も同じ思いをしているので悩みが言いにくい。
この社員クチコミを見る >>理由④業務量と給料が見合わない
労働時間や業務量に対して、給料が安いという意見は非常に多く見られます。
特に、責任に見合う給与が得られない状態が続くと、不公平感を覚えるだけでなく経済的な不安も生じさせ、仕事へのモチベーションが奪われます。
このような職場は退職者が出やすくなるため、慢性的な人手不足でさらに業務量が増えることもよくあります。
OpenWorkに投稿されたクチコミから、「業務量と給料が見合わない」という声を紹介します。
退職検討理由: 務量に対して給料が見合わない。リソースが少ないため業務負荷がかかりすぎる。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 業務量が給料に見合わない。頑張る人にたくさん皺寄せがきて、不平等感がある。会社に忠誠心を誓うような人しか上にあがれない風習がある。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 給料と仕事内容が見合わない。適当に過ごしていても生きていける会社なので、一生懸命やっているのがバカらしくなった。周りの仕事レベルが低かったが、評価はたいして変わらなかったので、この会社ではもう成長できないと思った。
この社員クチコミを見る >>理由⑤社内の評価制度に納得がいかない
社内の評価基準は企業ごとに異なります。
自分の仕事を評価されないことが、仕事が合わないと感じる要因になっているケースもあります。例えば、評価基準が数値ベースの場合、数字にならない仕事は評価につながりません。
また、以下のような公正性や透明性に欠ける評価制度のもとでは、正当な評価を受けられません。評価は給与面にも影響するため、モチベーションが低下し、やりがいが感じられず退職に至る可能性があります。
- 評価基準が曖昧
- 上司の主観に左右される
- 年功序列で成果が評価されない
OpenWorkに投稿された、「評価基準が合わない」というクチコミを紹介します。
退職検討理由: 勤務時間が合わないことや、評価基準がわからず自身が評価されているかわからずやりがいが感じられなくなったため。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 評価基準がどうしても数字がメインになってくるので、自身の適性に合わないと感じたため。数字をあげさえすればどのような方法で数字を獲得してもとがめられないといった姿勢が、まじめにやっている人と不平等を感じました。会社としても、規模が大きいゆえにそこまで管理が行き届いていないのが課題だと思います。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 専門性を磨けないのも退職検討理由の一つ。なんでもやるので、現場のお客様先の環境次第で、パソコンに触らない業務に配属されたりすると一気にレベルが落ちる。なかなかローテもできず、現場に埋もれている人も多い。さらに、評価されない。本社周りで、頑張った若手が評価される変な会社になってる
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 上長によって評価基準が違うので合う、合わないでかなり変わってきます。それもありやる気はどんどんなくなり今まではやりがいがあり楽しかったこの仕事も今は全然楽しいと思えません。
この社員クチコミを見る >>理由⑥社風・職場の雰囲気が合わない
仕事内容に問題がなくても、社風や職場の雰囲気が自分に合わなければ、働きにくさを感じます。
例えば、トップダウンで自分の意見を出しづらい、体育会系の雰囲気に馴染めない、飲み会を強制されるなど、職場の暗黙のルールが自分の価値観と衝突してしまうこともあるでしょう。
心理的安全性が低い環境では、能力も十分に発揮できなくなります。
OpenWorkのクチコミにも、「社風や職場の雰囲気が合わない」という声が多数寄せられています。
退職検討理由: とにかく社風が合わない。人が悪い訳ではないが、人を幸せにする会社だとは感じられない。人らしく生きたい人には向かない会社だと思う。アクセンチュアで働いている人、やめた人にもしっかり話を聞いて、自分に合うかを確認してから入社すべき会社。合わないと本当にしんどい
この社員クチコミを見る >>組織体制・企業文化: 非常に社員がおっとりしていてストレスを感じにくい。反面、そのゆったりとした社風が合わない人も多いと感じる。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: かなり体育会系の部署だったので、自分には合わなかった。また、毎年、事業自体もかなり苦しく、会社自体にも未来を感じることができなかった。海外トレーニーや海外出張、大型案件の主担当など若手にもさまざまなチャンスがあるので、何を大事にするか次第だが、将来にわたって会社で自分が活躍している未来が描けなかったことと、こうなりたいという人物像が社内で見つからなかったため、早期に退職に至った。ただ、経験させてもらったことは今でも非常に役にたっており、感謝している。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 比較的、業務に対するストレスはないが職場の雰囲気がどうしても合わなかった。どんどん若年層が退職していくため、同年代が少なくなり人間関係の構築がしにくい。
この社員クチコミを見る >>理由⑦職場の人間関係が合わない
職場での働きやすさに大きく影響をおよぼすのが人間関係です。
自分と合わない人がいると、コミュニケーションが取りにくくなったり、ストレスが溜まりやすくなったりします。
また、ガバナンスに問題がある場合や、いじめや無視、派閥争いなど、特定の人との関係性が原因で精神的に追い詰められるケースもあります。
このように人間関係が悪い環境では、仕事内容に不満がなくても、出社自体が苦痛になるでしょう。
OpenWorkに投稿された、「職場の人間関係が合わない」というクチコミを紹介します。
退職検討理由: 上司や先輩方など周りの人間と自分の考え方、趣味趣向、価値観、思想がまったく合わず、あのまま働き続けた場合、お互いのためにならないと思い、退社を決意させていただきました。また、仕事の内容も体力勝負な部分が多くあると感じます。全体的に体育会系の価値観をお持ちの方が多く、そこに馴染めないと厳しいのではないかと思われます。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 社内の人間関係のゴタゴタをよく耳にして、その内容が組織としてどうなのかというものばかりだったので。派閥が存在したり、お気に入り人事が存在するのは組織としては仕方ないことだと思うが、発言力のある個人の意見で人事異動があったりというのは側から見ていても疑問を感じた。
この社員クチコミを見る >>理由⑧キャリアパスや将来性がない
「やりたい仕事や経験が積めない」「10年後も仕事内容が変わりそうにない」「今の仕事でスキルアップが見込めない」「昇進の道筋が見えない」など、自分の成長やキャリアビジョンと会社の方向性が一致しない状態のときも、仕事が合わないと感じられるでしょう。目標を見失い、働く目的が曖昧になるためです。
会社の将来性に不安がある場合、自分のキャリアプランにも不安が生じるため、仕事が合わないと感じられるようになります。
OpenWorkのクチコミから、「キャリアパスや将来性がない」という声を紹介します。
経営者への提言: 将来の自分のキャリアプランをイメージできない。与えられた仕事は、私でなくてもおそらくできるであろう仕事だと考える。もっと経験を積みたい!という思いだけが日に日に募るばかり。きっと20代の社員のなかでこう思う人はほかにもいると思う。ポスティングや人材育成をもっとしっかりと考えて、本人が納得できるような仕組みがあると、とらえ方も変わると思う。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 小さな会社で、10年後も同じような仕事をしていることが容易に想像される。かといって社内に多くの別ポジションがあるわけでもない。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 企業の将来性について、不安があったから。自分自身が思い描くキャリアと配属先が異なっていたため。
この社員クチコミを見る >>専門家アドバイス: 「仕事が合わない」と感じるのは、自分の価値観やライフスタイル、将来像とのズレが生じているサインです。無理に我慢を続けるのではなく、その違和感の正体を見極めることが重要です。そして、その気づきを今後のキャリア選択や、働き方の改善にどう活かすかを前向きに考えることが、納得のいく働き方への第一歩となります。
仕事が合わないときに現れる5つのサイン
自分の適性やスキル、望む環境などに合っていない仕事を続けると、精神的な負担が生じます。ここからは、合わない仕事がストレスになっているときに現れる、5つのサインを紹介します。
1.仕事のモチベーションが低下する
仕事が自分の適性に合わないと、やる気が出ず、仕事へのモチベーションを保てません。
仕事を「やりたくないもの」と思うようになると、やりがいや達成感を感じにくくなります。かつては業務を楽しめていたとしても、次第に興味を持てなくなり、ただ時間を浪費している感覚に陥るでしょう。
モチベーションの低下は、朝起きるのが異常につらい、新しいことを学ぶ意欲が湧かないといった形で現れます。
モチベーションの低下がどの程度深刻であるかを知りたい方は、以下の記事でチェックしてみてください。
仕事のやる気が出ない原因とは?30代特有の7つの原因と対処法を解説
2.仕事のミスが増える
仕事へのモチベーションが低下すると集中力や主体性が欠け、単純なミスが増える、指示が頭に入ってこない、作業効率が極端に落ちるなど、仕事のミスが出やすくなります。
ミスが増えると業務に支障が出るだけでなく、迷惑をかけることで人間関係が悪化するといった悪循環に陥るケースもあります。
また、適性がない業務による認知負荷の高さや慢性的なストレスが集中力を奪い、ミスの増加につながっている可能性もあります。このような場合は、ミスをおそれてさらに委縮するという悪循環を招くため対処が必要です。
3.人間関係が上手くいかなくなる
モチベーションの低下や仕事に対するストレスを抱えていると、同僚との会話を避ける、ランチを一人で食べる、社内イベントへの参加が億劫になるなど、周囲と壁を作りがちになります。
その結果、コミュニケーションに支障が出て人間関係の悪化を招いたり、ネガティブなオーラが周囲に伝わって孤立を深めたりすることにつながります。また、思ってもいないところで誤解を生じ、トラブルに発展することもあります。
人間関係がうまくいかなくなり悩んでいる方は、以下の記事もご覧ください。
職場の人間関係に疲れたときの10の対処法と休職・転職の判断基準【専門家監修】
4.体調を崩しやすい・疲れが抜けない
仕事が合わないことが強いストレスになると、体調に変化が起きやすくなります。特定の原因が見当たらないのに以下のような症状が現れる場合は、ストレスが原因であることが多いでしょう。
- 頭痛・腹痛・めまい・耳鳴り・動悸・吐き気・食欲不振・不眠・過眠など
また、ストレスの影響によって蕁麻疹が発症・悪化しやすくなることも知られています。原因がないのに体調不良が続く場合には、体からのSOSかもしれません。
週末にしっかり休んでも、月曜日の朝が異常に憂鬱である場合や、常に疲労感が付きまとう状態である場合も危険信号です。
5.感情の起伏が激しくなる・感情がなくなる
ストレスにより大きな負荷がかかると、感情面のコントロールが難しくなります。
些細なことでイライラしたり、急に涙が出たりと感情の起伏が激しくなることもあれば、逆に何も感じなくなることもあります。
これらの症状は、自覚できるとは限りません。周囲から「最近怒りっぽくなった」「元気がない」と指摘された場合は要注意です。
合わない仕事を続けた結果に起こり得る3つのリスク
合わない仕事を無理に続けると、心身の状態や自身のキャリアにまで悪影響がおよびます。継続的なストレスは、精神疾患を引き起こすおそれもあるでしょう。無理をした結果起こり得る、3つのリスクを紹介します。
仕事が辛く、ストレスを感じている方は、以下の記事も併せてご覧ください。
仕事が辛いと感じたら?原因分析の方法と具体的な対処法、仕事を辞めるべきサインを解説
1.成長やスキルアップの意欲がなくなる
合わない仕事を続けていると、やる気が起きず、成長したいという意欲が湧かなくなります。
また、適性に合わない仕事を続けても、先々役に立つスキルは身に付けられません。スキルのない状態で転職活動に取り組んでも、良い結果を得るのは難しいでしょう。
つまり、合わない仕事を無理に続けることは、時間の浪費であり、自分自身の市場価値を下げることにつながります。
2.成果を出せずキャリアが停滞する
適性に合わない仕事は、モチベーションの低下やミスの多発を引き起こし、成果を出しにくくなります。
その状態が続けば、会社で良い評価は得られません。上司からの信頼が得られず、昇進する機会や重要な業務に携わる機会を失い、キャリアが停滞するおそれがあります。
特に、キャリア形成が重要な20代・30代の場合、将来に影響をおよぼしかねません。そのまま社内にとどまっても成長は見込めず、転職するにしても、選択肢が限られてしまいます。
3.ストレスにより心身の健康を害する
合わない仕事を無理に続けると、気付かない間に大きなストレスを受けます。ストレスが蓄積すると、休んでも疲れが取れなくなったり、頭痛や肩こりなどのさまざまな不調が現れたりします。
そのような状態になっても適切な対処を行なわずに放置していると、パニック障害や適応障害、うつ病など精神疾患を患うおそれもあります。
そうなると回復に多大な時間を要するだけでなく、最悪の場合は働くこと自体が困難になることもあるでしょう。
気分が重く体調も優れない場合には、悪化する前にストレスチェックを行なうことをおすすめします。厚生労働省が運営するメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」では、簡単にストレスチェックができるコンテンツ「5分でできる職場のストレスセルフチェック」を提供しています。
仕事が合わないと感じた時の対処法4選
仕事が合わないと感じても、すぐに辞める決断をする必要はありません。転職を考える前に、現状を改善するためにできる対処法を4つ紹介するので、まずは試してみましょう。
1.休息のため有給休暇をとる
仕事が合わずストレスで疲弊した状態では、冷静な判断はできません。
状況によっては現職で問題を解決できる可能性もあるので、まずは有給休暇を取得し、仕事から物理的・心理的に距離を置いて心身を回復させることが大切です。睡眠を十分に取り、好きなことをしてリラックスすることで仕事への意欲を取り戻し、状況を客観的に見つめ直す余裕が生まれます。
2.上司に現状を相談する
仕事が合わない場合、退職を検討しがちですが、まずは上司に相談し、業務内容や職場環境の改善が可能かどうかを探ることが大切です。
具体的に合わないことや改善したいことを建設的に伝えれば、配置転換や業務内容の調整を検討してもらえる可能性があります。相談することで、新たな解決への糸口が見つかるかもしれません。
転職は、現状の問題が解決できないとわかってからでも十分に可能です。
3.「何が合わないのか?」原因を徹底的に自己分析する
現職に留まるにしても転職するにしても、仕事が合わない根本原因を深堀りすることが不可欠です。以下のことを紙に書き出して、整理して自己分析しましょう。
- 過去の仕事の成功体験やその理由
- 自分が何を大切にしたいかという価値観
- 自分の強み・弱み
そうすることで、今の仕事の何が合わないのかが明確になり、次に目指すべき道がわかります。場合によっては、キャリアカウンセラーの力を借りるのもよいでしょう。客観的なアドバイスを受けられます。
4.副業や資格取得で自分に合った仕事を探してみる
ストレスから自信を失い、「すぐに転職するのが不安」「自分に合った仕事がわからない」という場合、興味のある分野で副業を始めたり、関連する資格の勉強をしたりするのも有効です。
副業なら、現職を退職するリスクを抑えながら別の分野の適性を試せます。また、現職以外の場で成功体験を積むことで、自信の回復にもつながるでしょう。
現在では、働き方改革への流れから副業に関する社会の意識も変わってきています。
総務省の「令和4年就業構造基本調査」によると、2002年には「副業をしている」と回答した人は約236.4万人でしたが、2022年には約304.9万人まで増加しました。
また、副業希望者も2002年の約315.2万人から、493.4万人まで増加しています。
まずは現職で副業が容認されているか就業規則の確認が必要ですが、可能であれば、新たなキャリアに向けて一歩を踏み出すきっかけとなりやすいでしょう。
専門家アドバイス: 仕事が合わないと感じたときは、感情だけで転職などの大きな決断を急がず、一度立ち止まって冷静に現状を見直すことが大切です。休息を取る、信頼できる人に相談する、これまでの自分を棚卸しするなどの行動を通じて原因を明らかにし、自分らしく働ける道を少しずつ探していきましょう。
合わない仕事を辞めたい...転職先を見極めるポイントと成功のコツ
ここまで紹介したことを含め、「あらゆる対処法を試しても状況が改善しない」「心身の限界を感じている」という場合、転職が有効な選択肢となります。
特に、以下に当てはまる場合には、早急に転職を検討しましょう。
- 医師から休職を勧められた、または日常生活に支障が出るほどの不調が続いている
- 現職での改善が見込めない、上司に相談しても取り合ってもらえない、会社の体質や文化が根本原因で個人の努力ではどうにもならない
- ハラスメントや法令違反など、明らかに企業側に問題があり、自分の安全や権利が脅かされている
「仕事を辞めるのは甘えなのでは?」と悩む方もいますが、合わない仕事で無理に働くのはリスクが高いため避けるべきです。
ここからは、合わない仕事から転職を成功させるために必要な準備や、転職先を見極めるポイントを紹介します。
転職活動を始める前にやるべき3つの準備
転職活動を始める前には、以下の3つの準備が必要です。
- 徹底的な自己分析とキャリアプランの明確化
- 希望条件の優先順位付け
- 情報収集と企業研究
まず、転職の軸を定めるために「なぜ転職したいのか」「次に何をしたいのか」「どのような働き方を実現したいのか」を具体化しましょう。そして、給与、勤務地、仕事内容、企業文化、福利厚生などについて、譲れない条件と妥協できる条件を整理します。
そのうえで、企業研究と情報収集を行ない、自分に合う企業であるかを見極めましょう。
企業の社風や社員の働き方についての情報収集には、企業のホームぺージや業界ニュース、転職エージェントのほか、OpenWorkのような社員クチコミサイトが役立ちます。
OpenWorkで自分に合う会社を見つけるためのポイント
OpenWorkでは、在籍中・在籍していた社員による「退職検討理由」や「働きがい・成長」などのクチコミを閲覧でき、自分に合う会社を見つけるきっかけになります。
クチコミは投稿者本人の主観に基づくものであるため、ポジティブな意見・ネガティブな意見のどちらも参考にし、総合的に判断することが重要です。
また、クチコミから新たな視点を得られることもあります。そのため、OpenWorkは、実際に転職を決めた段階ではなく「仕事が合わないな」「転職しようかな?」と感じている段階から積極的に活用し、自分の価値観に合う会社はどのようなところなのかを考えるのがおすすめです。
転職先の仕事が合わないと思った際のQ&A
転職した先で「転職したけど仕事が合わないかもしれない」と感じることもあるでしょう。その場合にはどう対処したら良いのか、よくある質問と回答をまとめました。
Q. 「転職先の」仕事が合わないと思ったら、転職後すぐに上司へ相談はできる?
転職直後でも上司への相談は基本的に可能です。ただし、入社数日~1週間程度は、業務や職場の空気感が把握できていない可能性があります。
まずは、物事の受け取り方をポジティブに変えるように努力して、可能であれば3ヵ月程度は様子を見ましょう。
上司へ相談する際は、漠然と「合わない」と言うのではなく、具体的な内容(業務内容・人間関係・社風・労働条件など)を伝えましょう。内容によっては解決への糸口が見つかるかもしれません。
Q. 転職してすぐに再転職はできる?
短期での再転職は法的には問題ありませんが、多くのリスクがあります。
企業は自社に定着し、活躍できる人材を求めているため、短期離職はマイナスにとらえられるおそれがあります。
そのため、転職活動の際には、前職をすぐに辞めた理由について面接官が納得できる説明をしなければなりません。
ただし、短期離職は必ずしも本人に原因があるとは限りません。入社後に「契約内容と異なる」「ハラスメントが横行していた」「急激に会社の経営状況が悪化した」などが発覚した場合には、無理に留まるのはリスクが大きいため、短期離職を検討してもよいでしょう。
まとめ:仕事が合わないなら無理をせず転職を検討しよう
仕事が合わないと感じる原因は、仕事内容や業界が自分の性格や適性に合わない、職場環境になじめないなどさまざまです。いずれも、無理に働き続けると心身に悪影響をおよぼすおそれがあります。
しかし、すぐに転職すれば解決するとは限りません。自己分析で本当に自分に合う仕事を見極めることが大切です。
OpenWorkでは、あらゆる企業や業界のリアルなクチコミを閲覧できます。自分に合う転職先を選ぶために、ぜひお役立てください。
まずは無料ユーザー登録(1分)専門家アドバイス: 「仕事が合わない」と感じるのは、キャリアの分岐点で誰しもが一度は抱える悩みです。焦って退職や転職を決める前に、自分の仕事への価値観や感情と丁寧に向き合いましょう。情報収集や相談、小さな改善といった段階的なアクションが、後悔のない選択につながります。本記事を参考に、まずは現職で試せる工夫から取り組んでみましょう。
専門家プロフィール
隈本稔
■資格
国家資格キャリアコンサルタント
■プロフィール
長崎大学大学院生産科学研究科を修了。その後、大日本印刷株式会社と東レ株式会社にて、製品開発・生産技術職に従事。2018年から、経営・キャリアコンサルタントとして長崎を拠点に企業の業務効率化、人材戦略立案、チームビルディング、集客サポートなど、経営改善や人材の有効活用に関するコンサルティングを行っている。