職場の人間関係に疲れたときの10の対処法と休職・転職の判断基準【専門家監修】
監修者
栗原深雪
■資格
社会保険労務士
国家資格キャリアコンサルタント
産業カウンセラー
この記事でわかること
- 職場の人間関係に悩むおもな原因は「コミュニケーション」「コンプライアンス」「価値観」「競争」「責任範囲」の5つ
- 人間関係のストレスへの対処法は4つに大別できる
- すでに心身の症状が出ている場合は、無理せず休職する判断も必要
- 自分の力では改善が見込めないときは、転職により環境を変える方法も有効
仕事上の人間関係に関する悩みは、業界や職種にかかわらず誰もが経験するものかもしれません。人間関係に強い不安やストレスを感じている人の多さは、統計を見てもわかります。
職場の人間関係に疲れたときは、悩みの原因と自身が置かれている状況を把握して、ストレスを減らすのに適した対処法を選ぶことが大切です。悩みが大きく膨らんで限界を感じている場合は、休職・転職の必要性についても検討したうえで、どのような行動をとるべきか判断しましょう。
専門家からのファーストアンサー: 職場の人間関係の悩みは、誰にでも起こるものです。この記事では、そのストレスの原因と改善策を整理します。さらに、状況に応じた「休職」や「転職」も視野に入れた具体的な行動プランを提案します。あなたの未来をより良いものにするための一歩を一緒に考えていきましょう。
職場の人間関係は多くの人が抱える悩み
厚生労働省の令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、働く人の約8割(82.7%)は、仕事や職業生活に強い不安や悩み・ストレスを感じる事があると示されてます。さらに、そのうちの約3割(29.6%)の人が、おもなストレスの内容として「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」を挙げていました。職場の人間関係に悩むのは、決して珍しいことではないとわかる結果です。
しかし、「皆がそうなのだから自分も我慢しよう」のように考えてしまうと、心身に悪影響が出るかもしれません。ストレスを原因から見つめ直し、どのような行動が状況の改善につながるのかを理解することが大切です。
職場の人間関係に疲れを感じる5つの原因
人間関係に悩む理由は多岐にわたります。また、それらが複合的に作用した結果、ストレスとして表れるのが通常です。さらに、長時間労働や評価システムがうまく機能していないといった職場環境が、ストレスを増長させるケースも少なくありません。
このように、人間関係のストレスは単純ではありませんが、適切に対処するには原因について知ることが重要です。ここでは、職場の人間関係にストレスを感じるおもな原因として、以下の5つについて見ていきましょう。
- コミュニケーションが不十分
- コンプライアンスが整っていない
- 価値観の違いが大きい
- 競争意識が強い
- 責任範囲が不明瞭
それぞれ、OpenWorkに寄せられたリアルなクチコミとともに説明していくので、どれが自分に当てはまるか確認してみてください。
1.コミュニケーションが不十分
人間関係は、コミュニケーションの質に左右される面が少なくありません。コミュニケーションが不十分だと、意思疎通がうまくいかずストレスにつながります。
また、仕事においては単に「会話ができる」というだけでなく、適切な報告・連絡・相談も必要です。コミュニケーション不足により業務遂行に支障が出れば、人間関係はさらに悪化するかもしれません。
OpenWorkに投稿された、コミュニケーション不足に関するクチコミを紹介します。
退職検討理由: まず、職場の雰囲気が悪い点が挙げられます。日々の業務を行う中で、チーム内のコミュニケーション不足や不和を感じる場面が多く、協力し合いながら仕事を進める環境が十分に発揮できないと考えるようになりました。次に、仕事量の多さも大きな問題でした。限られた時間内で膨大な業務をこなす必要があり、心身共に疲弊する日々が続いておりました。
この社員クチコミを見る >>組織体制・企業文化: 部署間の仲があまり良くないが故のコミュニケーション不足があり、円滑に仕事が進まないことがある。部内の飲み会等は多い方だと思う。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 部門間や階層間のコミュニケーションが不十分であり情報共有が滞り、意思疎通が困難な状況が多くみられる。
この社員クチコミを見る >>2.コンプライアンスが整っていない
職場では、上司や前任者から業務の手順や注意点を教わる場面もあるでしょう。このとき、指導の範囲を超えた過度な叱責などがあると、ストレスにつながります。
これにより、仕事への意欲が低下するばかりか、組織全体の生産性や企業文化にも悪影響をおよぼしかねません。また、こうした状態が日常化すると、心身の健康を害するおそれもあります。
OpenWorkに投稿された、コンプライアンスとストレスに関するクチコミを紹介します。
組織体制・企業文化: 会社の取組や指導方法に関しても昭和的な価値観が強く、厳しい言葉や圧力を感じる場面は多い。上昇志向の人には長く続けるのは厳しいかもしれません。
この社員クチコミを見る >>組織体制・企業文化: 上司・先輩の言うことは全て聞き入れなければならず、叱責されることは日常茶飯事。特に部下を「詰める」という文化があり、結果を出すためにひたすら追い込まれ続けなくてはならない。
この社員クチコミを見る >>3.価値観の違いが大きい
組織として業務を遂行するにはチームワークが重要ですが、一方で、人にはそれぞれの価値観があります。例えば、「質と量のどちらが大切か」「どの程度プライベートを重視するか」などの考え方には、同じチームに属している人同士でも異なる部分があるでしょう。
こうした違いは、不満やストレスの原因にもなるものです。また、意見の衝突などにより人間関係が目に見えて悪化し、チームワークを阻害することも考えられます。
OpenWorkに投稿された、価値観の違いに関するクチコミを紹介します。
退職検討理由: 独特の企業文化や組織体制に馴染むことができませんでした。具体的には、強力なトップダウン体制や上下関係を重視する風土、さらにはそういった土壌から生じる、相手を(役職等に関係なく)一人の個人として尊重しないようなマネジメントのあり方です。端的に言えば、会社が正しいと信じる価値観を押し付ける「お節介な」スタイルです。
この社員クチコミを見る >>女性の働きやすさ: 残念ながら女性は長くは働けません。とにかく力仕事に立ち仕事になります。ある程度、体力に自信がないとしんどく感じてしまいます。また、店長を務めている人の9割は男性です。店舗の限られた人間関係しかないため、男性と女性では価値観が合わずストレスに感じることも多いです。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 価値観の違い。私がいた部門では、週に2,3回の飲み会があり、今後、自分がこのくだらない飲み会にずっと関わらなければならないと考えると、転職して自分のスキルアップに繋げた方が将来のためになると思ったから。そして転職して2年経つが、今でもその考えは間違っていないと思っている。
この社員クチコミを見る >>4.競争意識が強い
成果主義の制度や風土により、競争が過熱して職場の人間関係が悪化する場合があります。
もちろん、健全な成果主義はモチベーションの向上をもたらすなど、決して悪いものではありません。しかし、競争意識が通常よりも強く働いて、同僚と足を引っ張りあうような状況が生まれてしまうこともあります。これにより職場の雰囲気が悪くなれば、大きなストレスにつながりかねません。
OpenWorkに投稿された、競争意識の強さに関するクチコミを紹介します。
退職検討理由: 実力主義の社風の為、やる気さえあれば上を目指すことのできる環境です。但し、実力とは売上です。個人としての売上で、特に何かしら特化した製品カテゴリーの売上実績が無ければ、上のポジションは取れません。逆に言うと、売上さえ残せれば評価されます。
この社員クチコミを見る >>組織体制・企業文化: 成果が出ていないと会議で詰められる、いつまでにどれだけすると言ったプレッシャーが半端じゃない。そのため成果欲しさにお客様にお願いすると言った、全く意味のない業務をする人が営業担当者にはものすごく多く感じる。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 社内競争も激しくて出世の道が極めて難易度が高いと感じます。自分の努力が足りないと言われてしまえばそれまでですが、、、
この社員クチコミを見る >>5.責任範囲が不明瞭
職場での役割分担が曖昧だと、各自が責任を果たすことが困難になります。業務遂行に支障が出るだけでなく、「これは自分がやるべき仕事なのだろうか」のような不安がストレスの原因にもなりかねません。
また、本来の責任範囲が不明瞭な状況下では、適切な評価も難しいでしょう。結果として期待した評価を得られなければ、さらなるストレスにつながってしまいます。
OpenWorkに投稿された、責任範囲に関するクチコミを紹介します。
組織体制・企業文化: 組織の役職の役割が曖昧。職責が曖昧のため、どこまで仕事を行えばいいのか、範囲かわからない。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: マネジメントする管理職がいないため、タスク管理・振り分けは曖昧で、誰の仕事かはっきりしないことが多い。それが非常にストレスである。
この社員クチコミを見る >>退職検討理由: 良くも悪くも「気合いでなんとかする」文化のため、引き継ぎが全く行われていなかったり、役割や職責が曖昧なことも多い。よって、やる気のある社員にとっては、機会がたくさんあることになるが、いっぽうで保守性の高い社員にとっては、「引き継ぎ資料がなく進め方がわからない」「誰が担当・ボールを持っているかわからない」といった事態になりがちである。
この社員クチコミを見る >>【セルフチェック】人間関係のストレス度を測る自己診断チェックリスト
ここでは、職場の人間関係によるストレスの度合いを自己診断できるチェックリストを紹介します。今の人間関係に疲れを感じている場合は、ぜひ試してみてください。
- 上司・同僚との関係がうまくいっていない
- コミュニケーションで誤解が生じやすい
- 仕事の進め方について自分の意見を伝えるのに緊張を伴う
- 職場に接触を避けたい相手がいる
- 職場にハラスメントがある
- 仕事のパフォーマンスが低下している
- 職場で無理をしていると感じる
- 身体的・精神的な不調を感じている
- 出社が憂鬱
- 自分のペースで仕事をすることができない
- 組織の文化が肌に合わない
- 休職や転職について考えることが多い
※このリストは、医療行為や診断に代わるものではありません。リスト結果はあくまで自己判断の参考としてください。
◆ チェックが0~2個の方:【健全な状態です】
現在の職場環境にうまく適応し、良好な人間関係を築けているようです。素晴らしいことですね。この健全な状態を維持するためにも、日頃から感謝を伝えたり、小さな違和感を放置せず対話を心がけたりすることを意識してみてください。今後もご自身にとって心地よい働き方を続けていきましょう。
◆ チェックが3~5個の方:【要注意サインです】
職場の人間関係が、少しずつあなたの心に影を落とし始めているかもしれません。無意識のうちにストレスが蓄積している可能性があります。
まずは、「どの項目にチェックがついたか」を振り返り、何が一番のストレス源になっているかを考えてみましょう。信頼できる同僚や友人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。また、苦手な相手とは物理的・心理的に少し距離を置く工夫をするなど、ご自身を守るための小さなアクションを始めてみましょう。
◆ チェックが6個以上の方:【SOSサインです。専門家のサポートも視野に】
人間関係のストレスが、心身に深刻な影響を及ぼしている可能性が非常に高い状態です。あなたは今、一人で抱え込むには重すぎる荷物を背負っています。決してご自身を責めないでください。
何よりも大切なのは、「一人で解決しようとしないこと」です。まずはしっかりと休息を確保してください。その上で、以下の相談先を頼ることを真剣に検討しましょう。
専門家アドバイス: 人間関係にストレスを感じたときは、「今、ストレスを感じている」と自分で気づくことが大切です。感じた瞬間に深呼吸や軽い休憩を挟み、リフレッシュする習慣を身につけましょう。自分の気持ちを整理して信頼できる人に相談することで、視野が広がり解決策が見つかりやすくなります。また、苦手な相手とは業務上必要な範囲でうまく距離を取ることも必要です。必要に応じて産業医や外部カウンセラーの利用も検討しましょう。
職場の人間関係に疲れたときの10の対処法
自身のストレス状況を把握できたら、早めに対処することが大切です。ここでは、10の対処法を以下の4種類に分類して説明します。
- 自分の意識を変える方法
- 相手との接し方を変える方法
- 周りに助けを求める方法
- 現在の職場環境から離れる方法
ただし、すべての対処法が必須というわけではありません。現状に照らし合わせて必要性を感じるものや、できそうな方法から試してみてください。
自分の意識を変える方法
職場の人間関係でストレスを感じるのは、自分だけのせいとは限りません。とはいえ、自分自身の気持ちを整理することから始めれば、ストレスの強い状況を改善できる可能性があります。
対処法1:ジャーナリングで自分の気持ちを客観視する
ジャーナリングは、「書く瞑想」とも呼ばれる手法です。ノートとペンを用意して、次のような流れで行ないます。
- リラックスできる環境を整える。
- 頭に浮かんだことを、そのままノートに書き出していく。
- 書き出した内容を読み返す。
これにより、自分の気持ちが可視化されます。これまで漠然としていた悩みを客観的に眺めることで、気持ちがすっきりしてネガティブな感情をリセットするなどの効果が期待できる方法です。
対処法2:ストレスコーピングについて学ぶ
「コーピング」は、「対処する」という意味の言葉です。ストレスの強い状況に対処するための手法のことを、ストレスコーピングといいます。
ストレスコーピングの手法にはさまざまなものがありますが、「問題に働きかける(問題焦点型)」「自分の考え方・感じ方を変える(情動焦点型)」「ストレスを発散させる(ストレス解消型)」の3つに大別できます。具体的に学ぶことで、自分のストレスを減らすのに役立つ方法も見つかるでしょう。
相手との接し方を変える方法
ストレスの強さは、人との接し方によっても変わります。
例えば、コロナ禍を契機に、上司や同僚とのかかわり方が変わったという人もいるでしょう。テレワークが増えると雑談などの気軽なコミュニケーションが減る傾向があるため、相手の様子がよく見えず、誤解が生じやすくなります。ストレスを感じるようなら、かかわり方を工夫することも考えましょう。
対処法3:アサーティブな伝え方を心がける
「アサーティブ」とは、自分の考えや意見を我慢せず、率直に表現することです。自分の意見や要望をしっかりと主張することは、ストレスの軽減につながります。
ただし、コミュニケーションはお互いさまです。アサーティブな伝え方とは、相手を尊重し、互いにストレスを感じずに意見交換することだと心がけましょう。これにより、人間関係が円滑になるほか、生産性の向上など仕事面のメリットも期待できます。
対処法4:仕事とプライベートは別だと割り切る
仕事上の人間関係は、必ずしも家族や友人のようである必要はありません。業務を遂行するには、報告・連絡・相談のための最低限のコミュニケーションがあれば十分です。むしろ親しくなったことで、感情のもつれが生じてストレスの原因を増やしてしまう場合もあります。
職場の人間関係に悩むことが多いなら、「仕事は収入を得る手段だ」と割り切ってしまうのも一つの考え方でしょう。仕事とプライベートとを線引きすることで、両者のバランスをとりやすくなります。
対処法5:苦手な人と距離をとる
苦手な相手を変えようと努力しても、なかなか簡単にいくものではありません。「そういう人だ」と受け入れて、そっと距離をとったほうがストレスを減らせることもあります。
このとき、「物理的な距離」や「心の距離」を意識するのが効果的です。具体的には、苦手な人がいる場所を避ける、雑談やプライベートな話題を話さないようにするといった方法が挙げられます。
ただし、職場のすべての人と距離をとってしまうと、今度は孤立によるストレスが生じるかもしれません。孤立を避ける意味でも、一緒にいて楽しい人とのコミュニケーションは大事にしましょう。
周りに助けを求める方法
人間関係のストレスでは、どのように対処するのが正しいのか迷うことも少なくありません。そもそも改善の余地があるのかどうかが、わからない場合もあるでしょう。そのようなときは、周囲の人に力を借りることも考えてみてください。
厚生労働省の令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、9割以上(94.9%)の人が「仕事上のストレスについて相談できる人がいる」と回答しています。このうち、実際に相談したことがある人の割合は約7割(73.0%)です。
なお、相談した相手については男女差が見られました。男性は上司(60.8%)と家族・友人(59.0%)に相談することが多いのに対し、女性では家族・友人(73.1%)と同僚(62.7%)が上位となっています。
対処法6:信頼できる上司や同僚に相談する
信頼している上司や同僚なら、人間関係の悩みを減らす力になってくれるかもしれません。同じ会社で働いていることから、職場の事情についてもよく知っている部分が多いためです。
できれば、まずは上司への相談を検討しましょう。上司であれば、普段の仕事ぶりや、チーム内の人間関係などをある程度は把握しているはずです。また、異動や配置換えといった、ストレスの軽減につながる具体的な解決策を提示してもらえる可能性もあります。
対処法7:人事部などの相談窓口を利用する
社内の身近なところには、相談しやすい相手がいないという人もいるでしょう。信頼できる上司がいても、退職まで視野に入っているなどの理由から、なかなか相談しにくい場合もあるかもしれません。そのようなときは、人事部などの相談窓口に助けを求める方法もあります。
この場合、原則として相談者の秘密は守られるため、上司や同僚に噂が広まりにくい点がメリットです。また、ほかの社員からも相談が集まる部署であることから、的確な解決策を提示してもらえる可能性が高いといえます。
対処法8:産業医の面談を受ける
社内に産業医がいる場合は、人間関係の悩みについて相談することも可能です。面談を受ける必要はありますが、個別の状況をふまえたうえで、ストレスを軽減する方法を具体的に指導してもらえるかもしれません。
また、企業に対して従業員の健康をサポートするためのアドバイスを行なうことも、産業医が持つ役割の一つです。職場環境のストレスを軽減するために、産業医から企業側に働きかけてくれるケースもあるでしょう。
現在の職場環境から離れる方法
すでにストレスが限界に達している場合や、心身の不調が見られるときは、身を守るための判断が重要となります。最終手段として、休職・転職の必要性についても検討しましょう。
対処法9:休職制度を利用する
休職制度の利用は、現在の雇用関係を維持したままで職場を離れられる方法です。会社を辞めることなくストレスの原因から距離を置き、心身の回復に専念できます。また、回復すれば職場に戻れるという可能性を残せる点もメリットです。
ただし、休職期間中は給与が出ないのが一般的です。また、休職制度は法律で決められた制度ではありませんので、休職期間や休職中の待遇などの休職制度の詳細は企業によって異なり、なかには一部給与が支給されることもあるため、休職制度を利用する際には就業規則などで確認しましょう。
対処法10:転職で職場環境を変える
転職は、新しい職場に移ることで、今よりも良好な人間関係を築ける可能性がある方法です。現在の職場ではどうしてもストレスを減らすのが難しい場合や、休職後に復職したいと思えないときは、転職を検討しましょう。
ただし、どのような仕事でも人とのかかわりは避けられません。次の職場が自分に合っているかどうかを見極めて、また同じ状況に陥らないようにすることが大切です。
専門家アドバイス: 人間関係にストレスを感じたとき、「自分さえ我慢すればいい」と思い込んでいませんか?しかし、長期的な我慢は心身の健康を蝕み、最終的には業務効率も低下させます。あなたの幸せや健康を犠牲にしてまで守るべき職場はありません。一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家からの支援を受けつつ、自分を大切にするための「休職」や「転職」という選択も考えてみてください。
休職・転職を検討すべき「限界」の判断基準
次のような場合は、人間関係によるストレスが限界に近づいているのかもしれません。状況を改善するために、休職や転職を検討するタイミングだといえます。
- 気になる症状があるなど、心身の不調を感じている
- 今の職場では、人間関係を改善できる気がしない
ここでは、実際に休職・転職すべきかどうかを見極めるための、判断基準を紹介します。
心身の不調がある場合は「休職」を検討
人間関係による強いストレス状態が続くと、メンタルヘルスに不調をきたすおそれがあります。セルフチェックでストレス度が高いとわかったときや、不安・無気力・頭痛・不眠などの症状が見られる場合は、放置することはおすすめできません。少しでも早く、ストレスの原因から離れることを検討してください。
休職には収入の減少など心配な面もあるかもしれませんが、体を壊してしまうほうが大きな問題です。必要に応じて産業医などの専門家に相談し、実際に休職すべき状況かどうか判断しましょう。
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職場環境を変えるのが難しい場合は「転職」を検討
ストレスの感じ方は、ある程度であれば自分でもコントロールできます。しかし、人間関係の問題は、自分の力だけでは根本的な解決にいたらないケースが少なくありません。今の職場で状況の改善を試みるのが難しいと感じるときは、転職も検討しましょう。
転職にあたっては、自分が何にストレスを感じやすいのかを把握しておくことが大切です。また、自分にとっての働きやすい職場や、やりがいを感じられる仕事を具体的にイメージしておくことをおすすめします。
まとめ:職場の人間関係に疲れたらストレス度を把握して対処しよう
仕事上の人間関係について、多くの人が悩みを抱えているのが実情です。その原因は多岐にわたり、複雑にからみあって強いストレスとなることもあります。
状況を改善するには、ストレスの一般的な原因について知るとともに、自分のストレス度を把握することが大切です。そのうえでセルフケアに努めたり、人とのかかわり方を変えたりするほか、必要に応じて周囲に助けを求めるなどの対処法を検討しましょう。限界を感じる場合は、休職・転職についても検討してください。
転職の際には、新しい職場での人間関係も気になるところでしょう。自分に合う職場を見つけるために、現場のリアルな声を確認できるOpenWorkをぜひご活用ください。
まずは無料ユーザー登録(1分)専門家アドバイス: 人間関係に悩んだときは、まず「自分のストレスレベルと限界」を正直に見つめることから始めましょう。我慢が習慣になっていないか確認してください。そして、この記事で紹介した10の対処法の中で、できることから一つずつ試してみましょう。専門家のサポートを受けることも有効です。あなたの幸せと健康が最優先です。小さな一歩から、自分らしい働き方を取り戻していきましょう。
専門家プロフィール
栗原深雪
■資格
社会保険労務士
産業カウンセラー
キャリアコンサルタント
■プロフィール
一般企業、行政機関の総務・人事部に17年従事後、2014年、社会保険労務士登録、2016年独立開業。中小企業の人事労務の手続き・労務トラブルへの相談対応だけでなく、産業カウンセラーとして、育児・介護・病気治療と仕事との両立支援やハラスメント、メンタルヘルスの外部相談窓口対応など、労働者がいきいきと楽しく仕事ができる環境を整備するための支援に力を入れている。神奈川産業保健総合支援センター メンタルヘルス対策・両立支援促進員として、休職者や休職者を支援する企業にアドバイスを行っている。