ジョブホッパーとは?意味・特徴・リスク・成功する転職術まで徹底解説

この記事で分かること

  • ジョブホッパーに明確な定義はないが、2~3年以内に転職を繰り返す人を指し、割合はけして多くはないものの一定数は存在する
  • ジョブホッパーには好奇心旺盛、飽き性などの特徴があり、採用側に「すぐ辞めそう」と思われやすい
  • ジョブホッパーが転職を成功させるためには、一貫性のある転職で経験やスキルをしっかりと積み上げることが大切

ジョブホッパーとは短期間で転職を繰り返す人のことで、チャレンジ精神や好奇心旺盛なタイプの人がなる傾向にあります。一方、企業側からは「すぐ辞める」「飽きっぽい」などネガティブなイメージを持たれやすいのが特徴です。

キャリアアップが難しそうなジョブホッパーですが、転職のやり方次第では「優秀」と評価され、キャリアを積み上げられるケースもあります。ジョブホッパーならではの強みを活かし、それをうまくアピールすれば、転職を成功させられるでしょう。

監修者からのファーストアンサー: ジョブホッパーは、短期離職の印象を持たれがちですが、決断力と変化への適応力を備えた人材とも言えます。転職の背景にある目的や、得たスキルと価値観を「自分軸」として語ることで、経験豊富な人材としての魅力を伝えることができます。

ジョブホッパーとは

ジョブホッパー(job hopper)とは、短期間で転職を繰り返す人のことを指します。「ジョブ=仕事」、「ホッパー=飛び跳ねる人」という意味で、もともと日本よりも転職のハードルが低い英語圏で誕生した言葉です。

本来は「スキルアップ・地位向上・収入アップのために転職する人」という意味であり、それほど悪い意味ではありません。しかし、日本では「すぐ仕事を辞める人、変える人」「仕事が長続きしない人」といったように、ややネガティブな意味に使われる傾向にあります。

具体的に何回転職すればジョブホッパーという明確な定義はありませんが、日本においては勤続年数の目安として2~3年以内、または1年未満で転職を繰り返す人をジョブホッパーと考えることが多いようです。

日本国内における転職者の動向

マイナビが行なった調査によると、20代で転職を3回以上している人の割合は男性で9.5%、女性で13.2%です。また、30代で転職を4回以上している人に限定すると、男性は7.7%、女性は17.7%というデータがあり、短期間で転職を繰り返すジョブホッパーの割合は決して多いとはいえないものの、一定数は存在することがわかります。

もちろん、転職を考える理由や事情は人それぞれです。実際に転職した人がどういった理由から転職を決意したのか、OpenWorkに寄せられたクチコミを見てみましょう。

退職検討理由: 給料アップの為。結果的に忙しい会社(業種)に転職し給料アップは成功しました。前の会社に居た頃と比較すると前社は、業務時間や業務内容に対する給与は悪くなく適正だと思います。

この社員クチコミを見る >>

入社理由と入社後ギャップ: 入社を決めた理由:給料が他社に比べ高く、同業他社の中では技術力が高いと聞いていた。自分は技術力を伸ばしたい為、入社を決意した。

この社員クチコミを見る >>

女性の働きやすさ: ハードワークのため育児復帰があまりなく、退職される人の方が多いようだった。育児をしながら働くという体制がまだできていないようだった

この社員クチコミを見る >>

退職検討理由: 自分のばあいは体力的な面と育児におわれ、ちょっと精神的な面からも余裕がなくなったため退職いたしました。育児短時間などの制度はもちろん、活用させていただきましたしはたらき方なども提案はしていただけたりなど当時の上司の方には気を配っていただき感謝しかありませんでした。が、自分的にも迷惑はかけられないとおもい退職しました。今でも本当に感謝しかありません。

この社員クチコミを見る >>

クチコミからは、「給与アップ」や「技術力向上」といった、自身の市場価値を高め、より良いキャリアを追求する積極的な動機が見て取れます。

その一方で、育児との両立の難しさから、会社の制度を利用しつつも、体力や精神的な限界を感じて退職を選ぶという切実な声も存在します。

これらの生の声は、統計データだけでは捉えきれない、退職理由であると言えるでしょう。

ジョブホッパーとキャリアビルダーの違い

ジョブホッパーと似た言葉に、キャリアビルダーというものがあります。キャリアビルダーもジョブホッパーと同じく、短い期間で転職を繰り返す人を表す言葉です。

前述のとおり、ジョブホッパーは比較的ネガティブなイメージを持たれやすいといえます。一方で、キャリアビルダーは業界や専門性に一貫性のある転職を繰り返しており、計画性のある転職でキャリアを築く人を指すため、ポジティブなイメージを持たれやすい言葉です。

今まさに転職を考えている方、すでに何回か転職をしている方は、これまでの経験やスキルを活かした転職先を検討し、ジョブホッパーではなくキャリアビルダーを目指すとよいでしょう。

ジョブホッパーになる人の特徴6選

転職の理由は人それぞれです。しかし、何度も転職を繰り返すジョブホッパーには、ある程度共通する特徴があります。ここではジョブホッパーになる人の特徴を6つ紹介しましょう。

1.行動力がある

一つ目の特徴は、自分の目標や理想に向けて環境を変える行動力があることです。

ジョブホッパーの傾向として、「悩むより行動」「行動する方が結果を早く得られる」と考える人が多く見られます。現状に満足せず失敗を恐れないため、「挑戦したい」と思ったら素早く動き出せることから、転職をすぐに選択できます。

こうした行動力を持つ人は、新しい環境でも比較的早くなじめるため、転職のハードル自体が低い傾向にあります。また、仕事にも積極的に取り組むことから、その行動力と積極性を高く評価されるケースもあるでしょう。

また、自分の意見や仕事の改善点をしっかりと主張できる人も多いようです。「協調性がない」と思われる可能性もゼロではありませんが、その資質を重宝する企業と出会えれば、能力を存分に発揮できるでしょう。

2.チャレンジ精神や成長意欲がある

二つ目の特徴は、チャレンジ精神や成長意欲の旺盛さです。

新しい仕事を見つけること、新しい仕事にチャレンジすることに意欲的であり、その結果ジョブホッパーになるというケースも見られます。このケースでは優秀な人材ほど強い上昇志向を持っている傾向があり、自身の将来像を見据えてさまざまな企業を検討するのが特徴です。

このタイプの方は、転職を繰り返すことで本当にやりたい仕事を徹底的に追及できます。また、失敗してもめげずに挑戦し続けることが得意なので、最終的に転職が成功する可能性も高いのが特徴です。

以下は、持ち前のチャレンジ精神によって転職を決めた人のクチコミです。

入社理由と入社後ギャップ: チャレンジ精神がある企業で、若手の内から様々なことに挑戦させてもらう事ができ、それが自らの成長につながると考えたから。
また、関連して新規事業も積極的に展開しており、完全に新たな事業に携わることも可能であると思ったため。

この社員クチコミを見る >>

入社理由と入社後ギャップ: 一人ひとりがチャレンジできる社風であると入社する前に聞いたから。チャレンジングな業務であっても、若いうちから任せてもらえて、自分のやり方で仕事をすることができる会社。実際に入社してみても与えられる裁量が大きいので、のびのびと仕事ができるという印象です。

この社員クチコミを見る >>

クチコミからは、「若手の内から様々なことに挑戦させてもらえる」「与えられる裁量が大きい」といった、自らの成長を加速させてくれる環境を求めて企業を選ぶ傾向が見て取れます。

専門家アドバイス: こうしたクチコミは、働き手が自らの成長スピードや方向性を意識的にデザインしたいと考えることの表れでしょう。従来の「長期安定」という価値観とは異なりますが、変化の激しい現代においてはむしろ合理的で戦略的な選択とも言えます。短期間での転職も、単なる気まぐれではなく、自分にとって意味がある経験を積むための選択であれば、キャリア形成において有効な手段です。ただし、目的を見失うと、経験が点のまま終わってしまい、キャリアの軸が育ちにくくなるため要注意です。

3.好奇心が旺盛

ジョブホッパーは好奇心が旺盛で幅広い分野に興味を持ち、多様な職種や企業、業務に触れることに魅力を感じる傾向にあります。また、新しい知識やスキルへの好奇心から、それらを習得するために転職を繰り返すケースもあるようです。

以下は、OpenWorkに寄せられた、旺盛な好奇心から転職を決意した方のクチコミです。

入社理由と入社後ギャップ: 新しいものへの好奇心の強さから、就職活動ではit業界を志望しました。この企業へはお客様の業種や業界が幅広いことから「この企業ならさまざまなことが経験できるのではないか」と考えたため入社しました。

この社員クチコミを見る >>

入社理由と入社後ギャップ: ・飽き性なため。様々な業界や論点にかかわり、好奇心を満たし続けたいと思った。・労働環境も改善されつつあると聞いており、プライベートもある程度充実させることが可能なのではと感じたため。

この社員クチコミを見る >>

興味をもった企業や業務、スキルに意欲的に挑戦し、また挑戦そのものを楽しめるのは大きな魅力といえるでしょう。ただし、「飽きっぽい人」「継続力がない」と思われる可能性もあるため、旺盛すぎる好奇心には注意が必要です。

専門家アドバイス: 好奇心が旺盛であることは、変化の多い時代において価値ある資質ですが、転職においてはマイナスに捉える採用担当もいます。大切なのは、好奇心を探究力へと育てることです。なぜそれに惹かれたのか、何を得たかったのか、次にどう活かすかと言った点で経験を意味づける力を養うことです。好奇心の質を高めるには、振り返りと対話が不可欠です。好奇心の赴くままに動いた経験は、やがて自分らしいキャリアの軸になっていくでしょう。

4.多角的な視点を持っている

転職を繰り返しさまざまな仕事を経験するからこそ、ジョブホッパーは多角的な視点で物事を見ることができます。

同じ会社で働き続けると、その会社のルールや文化しか知ることができず視野が狭まりかちですが、複数の会社で得た経験によって、新しい発想やアイデアを生み出すことができるでしょう。

また、入社してからなにか困ったことがあっても、「前職ではこう対処していた」と、過去の経験から困難を乗り越えることが可能です。

5.飽き性で長続きしない

もともと飽き性で仕事が長続きしないというパターンも、ジョブホッパーには珍しくありません。このタイプの人は、新しい環境や仕事に興味を持ちやすい反面、ある程度慣れると刺激を感じなくなり、長続きさせることが難しいのです。

飽き性の人は忍耐力や継続力に欠ける印象を与えるため、企業側からは「すぐ辞める人」と見られやすい傾向があります。キャリアを積み上げたりスキルを習得したりする前に飽きてしまうので、転職市場における価値が落ちてしまうことに注意しましょう。

以下は、飽き性を自覚していて転職活動をした人がOpenWorkに寄せたクチコミです。

入社理由と入社後ギャップ: 飽き性なので色々な業種を広く浅く見れる業界で働きたいと思っていた。また給与水準が高い会社が良いと思ったので銀行に決めた。入社理由の広く浅く業種をみれるというのは間違っていなかった。飽き性であったり色んなことに興味あるという人には向いている業界かもしれない。ただ、思っているよりも事務が多く映画だけしていれば良いというわけではないのが難しい。

この社員クチコミを見る >>

入社理由と入社後ギャップ: 飽き性なので広告代理店で多くのクライアントや業種に触れたかった。入社理由の多くの業者に触れると言う願いは叶ったが、大きなクライアント担当になるとその一つのクライアント以外は任期中は担当できないため注意。

この社員クチコミを見る >>

特に、単調な作業や安定した環境に飽きやすく、変化がないとやる気を失いやすい傾向があるので、これ以上転職を繰り返したくない場合はそういった仕事は避けるべきです。

専門家アドバイス: 飽き性の傾向がある場合でも、キャリアに一貫性を持たせる工夫が重要です。職務を短期間で離れる前に、一定の成果や習得スキルを明確にし、それを次の仕事にどうつなげるかを意識しましょう。また、自分が飽きにくい環境や業務内容を事前に分析し、変化や多様性のある職場を選ぶことで長期的な定着がしやすくなります。企業側には「短期間でも成長や成果を出せる」実績を示すことで、マイナスの印象を和らげられます。飽きる前に、どんな刺激がほしいのかを言語化することで、飽きの兆しをキャリア設計に活かすことができます。変化を味方につける力や、合った働き方を設計する力を育てることで、キャリアの安定性と納得感の両方を手にすることができるでしょう。

6.こだわりが強い

仕事内容や職場の環境が自分の理想や価値観に合わないことが、転職の理由になることもあります。

ジョブホッパーのなかには職場への些細な不満から現状を受け入れられず、転職を考える人が少なくありません。これは、こだわりが強いとも言い換えられるでしょう。

以下は、職場と合わない、職場に不満を感じたなど、自身の持つこだわりによって退職をした人のクチコミです。

退職検討理由: 人間関係。上司や先輩方など周りの人間と自分の考え方、趣味趣向、価値観、思想が全く合わず、あのまま働き続けた場合、お互いのためにならないと思い、退社を決意させていただきました。

この社員クチコミを見る >>

退職検討理由: 退職を決意した理由は、現在の評価制度や働き方に対する価値観の違いを感じたためです。現職では、プロジェクトごとに業務量や負担が大きく異なる一方で、評価基準が主に「逸脱や不適合業務がないこと」を重視しているため、努力や成果が十分に反映されていないと感じる場面がありました。加えて、人員配置が人件費を抑える方向に偏っていることもあり、一部の社員に業務が集中しやすい状況が続いていました。
このような環境の中で、自分の成長やモチベーションを維持することが難しいと感じ、新しい環境で、自分の能力を正当に評価していただける職場で再スタートを切りたいと考えるようになりました。

この社員クチコミを見る >>

強いこだわりを持っていると、チームや組織に合わせた柔軟な対応がうまくできず、周囲と摩擦を起こしてしまうことがあります。これを避けるためには、仕事選びの段階でその仕事や職場が自分に合っているのか、情報収集と自己分析をしっかりと行なうことが大切です。

専門家アドバイス: こだわりの強さは、自分の価値観や理想に対して誠実であるとも言える一方で、組織との摩擦が生じることもあるため、柔軟に対応できるものと譲れないこだわりは整理しておくことが重要です。転職を繰り返したくない場合は、自分の価値観と職場の文化がどれだけ重なるかを見極めることが鍵になります。単なる情報収集ではなく「自分のこだわりの輪郭」を描く作業でもあります。こだわりはキャリアの軸を作る力です。その軸を言語化できれば、転職の判断も職場での立ち位置も、より納得感のあるものになるでしょう。

ジョブホッパーに対する企業側の本音

ジョブホッパーはときと場合、そして企業によってネガティブにもポジティブにもとられますが、具体的にはどのような印象を持たれるのでしょうか。ここからは、ジョブホッパーに対する企業側の本音を解説していきます。

すぐに退職しそう

終身雇用の考え方が深く根付き、「新卒で入社した企業でキャリアを積み上げ定年まで働く」ことが美徳とされてきた日本では、どうしてもジョブホッパーに対する印象が悪くなりがちです。

たとえ転職にある程度寛容な企業でも、履歴書や職務経歴書から短い期間で何度も転職していることを知れば、「せっかく採用してもまたすぐに辞めてしまうのでは?」と思うのも当然でしょう。

そのため、企業側は採用に慎重になり、選考の際には転職回数についての質問の回答に注目してきます。そこで採用側を納得させられる理由を提示できるかどうかが、転職成功の鍵となるでしょう。

専門性やスキルがない

転職の回数が多くて一社当たりの在籍期間が短いと、十分な専門性やスキル、経験をもっていないと判断される可能性が高くなります。実際、転職理由が環境の不満や逃避的な動機である場合、スキルアップにつながらずキャリアが停滞するケースは珍しくありません。

厚生労働省が過去に行なった「令和2年転職者実態調査」では、事業規模が小さい事業所ほど、新卒者より転職者を優先して採用したいと考えていることがわかりました。これは、企業側が知識や経験をもった即戦力になる人材を強く求めていることを意味します。

なかでも、実務経験をしっかり積んだ30代は即戦力になるため、採用側にとって理想的な人材です。その一方で、専門性やスキルのない30代以上のジョブホッパーは、選考において不利になる可能性が高いといえます。

チームに混乱をもたらすのでは

ジョブホッパーは自分の考えや主張にこだわりを持つ傾向があるため、企業側からは周りに合わせず「チームに混乱をもたらすのでは」と思われやすいでしょう。しかし、高い共感力や柔軟性、人間関係構築スキルがないと、短期間であっても新しい職場で仕事をするのは難しいでしょう。

多用な価値観や働き方に触れて鍛えられた対人スキルを活かして、「ジョブホッパー=協調性がない」という印象を変えるためにも、自分の意見ばかりを主張するのではなく、周囲の意見に耳を傾けるようにするとよいでしょう。

明確な理由があれば気にしない

明確な理由さえあれば、ジョブホッパーであること自体は気にしないという企業もあるようです。むしろ、多くの企業で培った人脈や経験、スキルを活かせるのであれば、その点を評価してポジティブに考える企業もあります。

特にIT系や外資系の企業に多く見られ、成果物や実績で評価される仕事はその傾向が強いといえるでしょう。

ジョブホッパーを続けた場合の3つのリスク

うまくジョブホッパーをしながら経験と知識を積み重ねれば、一社で働き続けるよりも大きなキャリアを築ける可能性があります。その一方で、ジョブホッパーを続けることによるリスクが当然あることも忘れてはいけません。ここではジョブホッパーを続けた場合のリスクを3つ紹介します。

1.採用されにくくなる

短期間で繰り返し転職する人は、「その人が目指すキャリアプランが見えづらい」「自社とのマッチ度がわかりにくい」「採用してもすぐ辞めてしまうのではないか」という懸念から、採用担当者から敬遠される傾向にあります。

また、転職回数は書類選考の段階でわかるため、上記のリスクを鑑みて書類選考の時点で不採用と判断するケースも少なくありません。

採用されない状況が続くと、そもそも転職先を選ぶことができなくなってしまいます。転職の際は丁寧に自己分析を行ない、どのような能力・経験を身に付けたか、自分にはどのような価値があるのかしっかりアピールできるようにしましょう。

2.キャリアアップがしにくくなる

基本的にキャリアアップは、同じ仕事を続けてスキルや経験を高めていくことで形成されるものです。その点、短期離職を繰り返すジョブホッパーは経験もスキルも十分に積めず、キャリアアップが難しくなる可能性が高いといえるでしょう。当然、企業からも評価されにくくなります。

ジョブホッパーがキャリアアップを目指すなら、具体的な数字や実績の提示が必要になります。確かな結果を職務経歴書に書くことができれば、転職はもちろんキャリアアップも成功しやすいでしょう。

3.待遇が悪くなる可能性がある

厚生労働省が実施した「令和5年上半期雇用動向調査」の「転職入職者の賃金変動状況」によると、転職で年収が下がった人はおおよそ3割程度です。

年収が下がる要因としては、「職種やポジションが変わった」「働き方が変わった」「そもそも前職の給与が高かった」などさまざまですが、未経験の業界や職種に転職すると年収が下がることが多いといえます。

ジョブホッパーの場合、スキルや経験を評価しにくかったり、そもそも短期離職によってスキルをしっかり習得できていなかったりすることも待遇が悪くなる原因の一つです。

正社員から非正規雇用になったり、役職やポジションが下がったりといった待遇の悪化を防ぐためには、転職を考える際に興味や好奇心だけで先走らず、なるべく業界や職種に一貫性をもたせることが大切です。

評価されるジョブホッパーの3つの特徴

企業側からは悪印象を持たれやすいジョブホッパーですが、すべてのジョブホッパーが悪いわけではありません。条件によっては「優秀」と評価されることもあります。ここでは、その条件について解説していきます。

1.経験業界や職種に一貫性がある

優秀なジョブホッパーは、同じ業界や職種で転職を繰り返します。このタイプのジョブホッパーは目指すビジョンが明確で、必要なスキルや経験を積むために転職を繰り返していることがほとんどです。

こうした一貫性のある転職は、ジョブホッパーではなくキャリアビルダーであるといえるでしょう。企業側からの印象も決して悪くなく、高い評価を受けられる可能性が高くなります。

2.転職のたびに年収や役職が上がっている

前述のとおり、転職を繰り返していても業界や職種に一貫性があると、転職のたびに経験やスキルが積み上がっていきます。すると、転職のたびに給与や役職も段階的に上がっていくでしょう。

この場合は優秀なジョブホッパーであるといえ、企業側からの印象も変わります。少なくとも、「能力がなくて転職した」とは思われません。

評価されるジョブホッパーを目指すなら、常に「上の会社」を目指して転職活動を行なうことが大事です。

3.自分の強みと弱みを把握している

自分の強みと弱みを把握している人は、自己分析を正確にできている人です。

客観的に自分の能力を見極められるジョブホッパーは、足りない知識やスキルについて転職を繰り返しながら把握しており、自分を過大評価することはありません。これは優秀なジョブホッパーの条件であるといえます。

ジョブホッパーをしながら高い評価を得たいのであれば、まずは自分の強みと弱みをズレなく正確に把握しましょう。

専門家アドバイス: 短期間での転職でも、一貫した目的や戦略をもとに、得たスキルや経験を言語化できれば、企業から計画的なキャリア形成として評価されやすくなります。何を学び、どう活かすかを伝える姿勢こそが、即戦力としての信頼につながる鍵になるでしょう。

ジョブホッパーが転職を成功させる4つのポイント

ここからは、ジョブホッパーがより良い企業に転職するために意識したい4つのポイントを解説します。

1.これまでのキャリアを棚卸しする

転職活動を始めるときには、数々の職場を経験したなかでどのようなキャリアを築いたか、どのような経験やスキルを得たか、自分のなかで棚卸しを行ないましょう。

それらを丁寧に洗い出し、共通点や一貫性があるポイントを探ります。それがあなたの自己アピールポイントであり強みになるはずです。そして、その強みを生かせる企業こそ、理想の企業だといえるでしょう。

もし一貫性が見当たらない場合でも、短期間で何度も転職したことで得られた幅広い経験をどのようにその企業で活かせるのかを丁寧に伝えることが大切です。

その幅広い経験も、きっと強みに変えられるでしょう。併せて、「キャリアアップや目標達成のためには必要な転職だった」ことを具体的に説明できるようにしておくと、転職成功率がアップするはずです。

2.豊富な経験などを面接でアピールする

転職回数が多いということは、それだけさまざまな経験を積んでいるということです。経験面を面接時にアピールしない手はありません。

キャリアの棚卸しで自分のアピールポイントが決まったら、それと併せて面接でしっかりとアピールしましょう。転職先の仕事内容に合わせて、培った経験やスキルがどのように役立つのか、具体的に説明することが大切です。

3.キャリアプランを明確にする

何度も職場を乗り換える行為は、キャリアプランが明確ではない、あるいはプランそのものがないことを意味します。本人にそのつもりがなくても、採用側はそう考えるでしょう。

キャリアプランとは、将来なりたい理想像を実現する行動計画のことです。キャリアプランを明確にすれば、自分に合った仕事や業界を理解でき、転職活動がもっとスムーズになるでしょう。

これまでキャリアプランをあまり意識していなかった人や、明確になっていない人は、この機会にぜひ一度じっくりと考えてみてください。その際は、1年後・5年後と短期の目標を設定すると、無計画な転職を防ぐことができます。

4.ジョブホッパーを歓迎する仕事に就く

日本ではジョブホッパーに対しネガティブなイメージがありますが、職種によってはポジティブにとらえられることもあります。その代表が、営業職とエンジニア職です。

営業職

業界や企業独自の文化・風土にもよりますが、営業職は転職が多くても比較的ネガティブに思われない数少ない職種の一つです。

営業の仕事は、顧客の要望に応えて商品を売ることです。実績が数字に反映されるため、売れる営業マンであればジョブホッパーでも評価されやすい傾向にあります。ただし、繰り返しになりますが、これは業界や企業によって異なります。ジョブホッパーを歓迎する企業なのかどうか、事前にしっかり情報収集するとよいでしょう。

エンジニア

エンジニアのように特定のスキルをベースにキャリアアップしていく職種はジョブホッパーが珍しくなく、また評価されやすいといえます。この傾向は特にIT業界で強く、システムエンジニアやプログラマーには優秀な人材の不足傾向が長期化していることから、経験と知識をもったジョブホッパーの転職市場での優位性が認められている状況です。

技術者としてさらに上のキャリアを目指すのであれば、計画的な転職はむしろ歓迎される可能性が高いといえるでしょう。

専門家アドバイス: ジョブホッパーが転職を成功させるには、過去の経験を整理し、自身の強みを言語化する力が不可欠です。面接では豊富な経験の裏にある意図や学びを具体的に伝え、今後のキャリア像を描ける人は魅力的な人材に見えます。柔軟な職種選びも、可能性を広げる有効な戦略です。これを機会に起業するという道も視野に入れてみましょう。

OpenWorkを活用してジョブホッパーの強みを活かす転職を

次の転職活動を成功させるなら、ジョブホッパーを歓迎してくれる職種や企業を選ぶとよいでしょう。実際にその企業で働く社員や元社員からのさまざまなクチコミが集まるOpenWorkなら、気になる企業がジョブホッパーを受け入れてくれるか、ジョブホッパーが働きやすいかをチェックすることができます。

ここでは、実際にOpenWorkに寄せられたジョブホッパーを受け入れてくれる企業のクチコミをいくつか紹介します。

企業分析【強み・弱み・展望】: 強み: 教育事業は強い キャリアのない人、ジョブホッパーで キャリアがボロボロの人などは一度入社して 基礎から育てていく環境としてはあり ただ、派遣先アサイン先によるため ある程度、経験のある方はしっかり 意見した方が希望のアサイン先に行きやすい

この社員クチコミを見る >>

入社理由と入社後ギャップ: 入社を決めた理由:転職回数が多く、なかなか面接までたどり着くことがむずかしかったのだが、ここは面接まで行き、これまでの経験や知識、転職理由などを聞いていただいた。その上で、面接担当者との経験などと似ていたため話が盛り上がってしまいました。待遇面においても希望を上回る額を提示していただいたことと、福利厚生面でも、これまで経験してきた会社からすれば良いものだったので入社を決めました。

この社員クチコミを見る >>

退職検討理由: 年収が上がらない。CRO業界に共通することだが、中途経験者が報酬面で優遇される。出戻りも非常に多いです。会社の働きやすさは気に入っているので、転職回数は増えるが数年後に出戻りをして給与を上げることを狙っている。

この社員クチコミを見る >>

入社理由と入社後ギャップ: アットホーム感、老舗の不動産業、従業社員数、無借金経営転職回数が何回でも中途採用で入れます。宅建を持っている人が少ないため、宅建を持っていればほぼ確実に入れます。

この社員クチコミを見る >>

なお、OpenWorkでは社員・元社員に対して質問も可能で、転職回数が多い人の採用に関する意見もチェックできます。

また、OpenWorkには企業やエージェントから直接オファーが届く「スカウト機能」があります。Web履歴書を登録すれば、ジョブホッパーでも受け入れてくれる企業から直接スカウトがもらえるチャンスにつながるでしょう。

まとめ:ジョブホッパーならではの強みを生かして転職を成功させよう

興味のある仕事に飛びつくだけのジョブホッパーは敬遠されやすい傾向にありますが、一貫性のある転職を繰り返して専門性とスキルを高めれば評価を受けやすく、収入アップや昇進が期待できます。

また、職種や企業の風土によっては、ジョブホッパーの強みを活かせたりジョブホッパーが歓迎されたりするケースもあるので、そういった職種・企業を選ぶとよいでしょう。

気になる企業がある場合は、OpenWorkで情報を集めるのがおすすめです。

OpenWorkは実際の従業員がクチコミを投稿するため、よりリアルな意見を収集できます。転職回数が多くても採用されるか、ジョブホッパーのキャリアプランはどうなっているかなど、実際に経験した人・そこで働いている人しかわからないポイントをぜひチェックしてみてください。

専門家アドバイス: ジョブホッパーの経験は、視野の広さや変化への対応力という武器になります。転職理由や得たスキルを軸に沿って整理し、次にどう活かせるかを言語化することで、自分らしいキャリア構築が可能になります。大切なのは、変化を恐れず、経験を自信に変える姿勢なのではないでしょうか。

前へ

転職を後悔!実態と対処法を体験者の声と統計を踏まえて紹介

次へ

20代の転職事情から成功のポイント、20代ならではの悩みや転職の流れまでを解説