転職したいと思ったらまず何をすべき?転職成功への最短ルートと自己分析【専門家監修】
監修者
隈本稔
■資格
国家資格キャリアコンサルタント
この記事でわかること
- 転職を考え始めたら、不満や希望を洗い出し、チェックシートを活用して本当に転職すべきかを判断する
- 転職する際は求人市場の動向や自分の状況を考慮しつつ、早めに情報収集や準備を行なう
- 転職活動を始めてから転職先への入社準備をするまでには6ステップがある
初めて転職を考えるとき、「まず何から手をつけるべきかわからない」と戸惑う人は少なくないでしょう。
転職をする際には、自己分析や企業調査、応募書類の準備、選考対策、内定後の対応など、転職活動の段階ごとにすべきことがあります。思い付きや勢いだけで進めるのではなく、自分の気持ちや今の状況を丁寧に整理しながら、計画的に行動することが大切です。
専門家からのファーストアンサー: 転職は、自分の仕事への価値観やキャリアプランに合った働き方を再構築するチャンスです。本記事を参考に、ご自身の「転職したい」という気持ちの背景を丁寧に整理し、現職での改善策や転職準備を段階的に進めてみてください。焦らず冷静に行動することが、納得できるキャリア選択につながります。
まずは転職のメリット・デメリットを知ろう
転職には、キャリアアップや新しい出会いによる人間関係の再構築などのメリットがある一方で、収入が減ったり新しい環境で再スタートする不安があったりと、デメリットもあります。一時の感情だけで転職を決めるのではなく、良い面・悪い面の両方を理解したうえで判断することが大切です。
転職前に知っておきたい、おもなメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
- 収入が増えるチャンスがある
- 人間関係や働き方、ワークライフバランスなど前職の悩みが解消される可能性がある
- キャリアアップが目指せる
<デメリット>
- 収入が下がる可能性がある
- 勤続年数が短くなることで住宅ローンなどの審査に通りにくくなる可能性がある
このように、転職には前向きな変化をもたらす可能性がある一方で、新しい職場に適応するまでの負担や、経済的な影響も生じます。自分にとって何が重要かを明確にしたうえで、慎重に検討することが大切です。
また、OpenWorkに投稿された、転職に関するクチコミを実際に読んでも、転職後に給与アップや働きやすさの向上、職場環境が改善されたという声が多くあります。
入社理由と入社後ギャップ: 前職より給与が上がることと、インターナショナルな環境で仕事をしたかったので転職しました。
この社員クチコミを見る >>女性の働きやすさ: 前職より比較的に女性の役割が感じられます。女性のマネージャーもいて、かつ女性のサイトリード何人かいらっしゃる。
この社員クチコミを見る >>組織体制・企業文化: 前職より非常に上司部下共に仲良くなんでも相談できます。社長会長との距離も近いのがいいところです
この社員クチコミを見る >>転職したいと思ったら行なうべき自己分析手順
転職を考え始めたとき、最初に取り組むべきは「現状の不満を明確にすること」と「自己分析」です。ただ何となく不満がある、なんとなく辞めたいという気持ちだけで転職を決めてしまうと、転職後に同じような悩みを繰り返すことになりかねません。
そのため、まずは「なぜ今の仕事に満足できないのか」「自分はどのような働き方を求めているのか」を深く理解することが大切です。目的や価値観を明確にすることで、求人選びや面接時の判断軸がぶれにくくなり、納得感のある転職につながります。
ここでは、自己分析を進めるための具体的な手順を3つに分けて紹介します。
【手順1】現状の不満と希望を洗い出す
転職を考える際には、現在の仕事・職場に対する不満や転職によって実現したい希望を、具体的に整理することが大切です。不満を感じる対象には人間関係、給与、仕事内容、労働時間などがあり、実現したい希望にはキャリアアップ、ワークライフバランスの改善、新しい挑戦などが挙げられます。
これらを整理する際には、「モチベーショングラフ」と「マインドマップ」を利用するのがおすすめです。
- モチベーショングラフ
これまでの出来事を振り返り、モチベーションが上がった時期・下がった時期を折れ線グラフのように可視化する手法です。当時の状況や感情を書き添えることで、自分の価値観や大切にしていることなどが見えてきます。 - マインドマップ
転職や仕事など特定のテーマを中心に据え、思い付く言葉や感情を放射状に書き出していく方法です。思考の整理がしやすくなり、自分の興味の方向性が見えてきます。
こうした作業を通じて、自分にとって理想の働き方や譲れない価値観を客観的に見ることができます。
【手順2】チェックシートで客観的に見直す
転職を考えたときに「今すぐ動くべきなのか」「現職でも改善の余地があるのではないか」と迷うことは少なくないでしょう。そのようなときは、一歩引いて自分の状況を客観的に整理してみることをおすすめします。
ご自身の状況を客観的に見つめるために、以下の項目について「具体的に考えたことがあるか」「どの程度当てはまるか」を振り返ってみましょう。
《ステップ1:現職との向き合い度チェック》
まずは、今の環境で「やりきったか」「まだやれることはないか」を確認します。
- 不満の根本原因を特定できているか?
- その原因は、自分の働きかけで変えられる可能性はないか?
- 上司や人事に、キャリアの希望や悩みを伝えたことがあるか?
- 部署異動や関連会社への転籍など、社内で状況を改善する可能性を探ったか?
- 現職の「良い点」や「失いたくないもの」を書き出したことがあるか?
《ステップ2:転職先の解像度チェック》
次に、転職という選択肢が「単なる憧れ」でなく、「現実的な目標」になっているかを確認します。
- 転職したい理由に一貫性と説得力があるか?
- どのような業界、職種、企業で働きたいか、具体的なイメージがあるか?
- そのイメージは、求人情報や企業研究に基づいた現実的なものか?
- ご自身のスキルや経験が、転職市場でどのように評価されるか客観的に把握しているか?
- 転職によって「必ず叶うこと」と「叶わないかもしれないこと」を冷静に区別できているか?
《ステップ3:あなた自身の準備度チェック》
最後に、ご自身の心身の状態や、転職活動への準備が整っているかを確認します。
- 心身ともに、冷静な判断ができる健康状態にあるか?
- 転職活動に充てられる時間や、精神的なゆとりはあるか?
- 職務経歴書など、ご自身の強みをアピールする準備はできているか?
- 転職によって生じる変化(収入、勤務地、人間関係など)を受け入れる覚悟があるか?
- キャリアについて、信頼できる第三者(家族、友人、キャリアコンサルタントなど)に相談したか?
チェック結果の活かし方:キャリアコンサルタントからのアドバイス
◆ ステップ1のチェックが多く、ステップ2が少ない方へ
まずは「現職での改善アクション」から始めてみましょう。
まだ今の環境で試せる選択肢が残っている可能性があります。すぐに転職活動を始めるのではなく、上司との面談を設定したり、異動希望を具体的に検討したりと、社内でのアクションを起こすことで状況が好転するかもしれません。その努力をした上で、それでも状況が変わらなければ、その時こそ納得感を持って転職活動に踏み切れるはずです。
◆ ステップ2・3のチェックが多く、ステップ1の改善が難しいと感じる方へ
「情報収集を中心とした転職活動」を始めるタイミングかもしれません。
転職の目的が明確で、ご自身の覚悟も固まっているようです。まずは転職エージェントに登録して情報収集をしたり、興味のある企業の求人をチェックしたりと、本格的な活動を開始してみましょう。「現職を続けながら」という選択肢を常に持ち、焦らずにご自身のペースで進めることが成功の鍵です。
◆ 全体的にチェックが少ない、または判断に迷う方へ
今は「自己分析」と「情報収集」にじっくり時間をかける時期です。
焦って決断を下す必要はありません。まずは「自分は何を大切にしたいのか」「どんな時にやりがいを感じるのか」といった自己分析を深めることから始めましょう。同時に、世の中にはどのような仕事があるのか、広く情報を集めてみてください。
専門家アドバイス: 転職を考えたときは、まず「不満の明確化」と「自己理解」が重要です。いきなり求人を探しても、現職との向き合い方や自分の価値観・理想の働き方を見つめ直していなければ、希望と現実のギャップに悩んだり、転職後に後悔したりする可能性があります。チェックシートを活用しつつ、これまでの自分の棚卸しから焦らず着実に進めましょう。
転職の不安は原因と対処法が分かれば乗り越えられる【専門家監修】
【手順3】自己分析で「自分の強み」と「転職の軸」を見つける
転職を成功させるには、これまでのキャリアを振り返り、自分の「強み」や「弱み」を整理しておくことが大切です。そして、仕事を選ぶうえで大切にしたい価値観や譲れない条件を明確にすれば、それが転職の軸になります。
自己分析の方法としておすすめなのが、「キャリアアンカー」と「SWOT分析」です。
- キャリアアンカー
キャリアアンカーは、「自分が仕事に何を求めるか」という価値観を8つのタイプに分類して自己理解を深める分析手法です。例えば、「専門・職能別能力(特定の分野でスキルを極めたいタイプ)」「自律と独立(自由な働き方を求めるタイプ)」「保障・安定(安定した環境を重視するタイプ)」などがあります。どのタイプに大きく当てはまるかを見極めることで、自分にとって満足度の高い職場を見つけやすくなります。 - SWOT分析
SWOT分析は、個人や企業の内部環境を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」、外部環境を「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」という要素に分けて整理する方法です。例えば、「強み=英語力と営業経験がある」「弱み=マルチタスクが苦手」「機会=語学スキルが求められる業界」「脅威=業界再編で不安定」といった具合に書き出すと、自分に合った方向性が明確になります。
これらの手法を活用することで、単なる「転職したい」という気持ちから一歩進み、「自分はなぜ、どこへ向かいたいのか」を具体的に描けるようになります。
転職したいがやりたいことが見つからないときにすべきこと
「今の仕事を辞めたい」という気持ちはあるものの、「自分に向いている仕事がわからない」「やりたいことが見つからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。実際に、民間の研究所による2023年の調査で、転職活動者がまだ転職していない理由として最も多かったのは「自分に合った仕事がわからない」でした。
出典:リクルートワークス研究所「なぜ転職したいのに転職しないのか ― 転職の"都市伝説"を検証する―」
やりたいことが明確でないと、なかなか一歩を踏み出せないものです。そういった場合には、以下のような行動を通じて、自分の方向性を少しずつ探っていくとよいでしょう。
- 興味のある分野の情報を集める
興味のある分野に触れてみることで、自分に合う・合わないのヒントが見えてきます。趣味の幅を広げたり、セミナーやイベントへ参加したりしてみましょう。 - キャリア相談サービスを活用する
転職エージェントやキャリアカウンセラーに相談することで、自分の強みや適性を客観的に把握できます。 - 短期的な目標を立ててみる
「1年後にはこうなりたい」など時期を具体的に決めて、自分の理想像や目標を考えると、転職の方向性が見えやすくなります。そして、その理想像や目標を面接の際に伝えれば、応募企業に前向きな印象を与えられる可能性もあります。
さらに、情報収集の一環として、OpenWorkで現職に近い業務を行なう企業を調べてみるのもおすすめです。年収や働きやすさなどの条件を比較することで、自分に合う職場のイメージが湧きやすくなります。
また、未経験歓迎の求人に目を通すと、「自分でも挑戦できるかもしれない」という新たな可能性に気付くこともあるでしょう。未経験の分野に挑戦する際は、その分野のクチコミを参考にすることをおすすめします。
「今の仕事にやる気が出ない」「何をしてもつまらなく感じる」と感じている方は、以下の記事も併せてご覧ください。
仕事のやる気がでない!原因と対処法を知って心身の健康を取り戻そう【専門家監修】
仕事がつまらないと感じる10の原因と対処法|自己診断で今すぐできる改善方法【専門家監修】
転職を決断するタイミングと準備すべきこと
転職を考えるうえでは、「いつ動くか」と「何を準備しておくか」という視点が大切です。勢いで転職活動を始めるのではなく、タイミングを見極めて計画的に準備を進めることで、スムーズに次の一歩を踏み出せます。
ここでは、転職に適した時期と、実際に活動を始める前に行ないたい準備について具体的に解説します。
転職にベストな時期とは
転職に適したタイミングは、個人の状況やキャリアプランによって異なりますが、社会全体の動きも無視できません。
厚生労働省の調査によると、入職超過率(入職率から離職率を引いたもの)は一度2020年にマイナスになったものの、翌年以降右肩上がりで上昇傾向にあります。これは、労働市場が活性化し、転職がしやすい環境になってきていることを示しています。
出典:厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要 1 入職と離職の推移」
また、求人倍率や業界トレンドといった求人市場の動向に加え、自身のキャリアステージやキャリアプランを考慮することも重要です。例えば、「プロジェクトで結果を出して実績を作ったタイミングで動く」「昇進の見込みがなかったと確信した瞬間に転職を決意する」といったことが挙げられます。
ただし、「転職にベストな時期」を待ちすぎると、機会を逃すこともあります。求人市場や自分の状況を見極めつつ、早い段階で情報収集や準備を始めることが、後悔しない転職につながります。
転職のタイミングについては以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
転職時期はいつがいい?求人動向・ボーナス・繁忙期から見極める最適タイミング【専門家監修】
転職活動を始める前に最低限準備しておくべきこと
新卒の就職活動でも準備は大切ですが、転職活動ではさらに入念な準備が必要です。転職活動は自分でスケジュールを管理しながら進める必要があり、準備不足のまま動き出すと、チャンスを逃してしまうこともあります。
以下に、転職活動前に最低限準備しておくべきことを4つにまとめました。
- 大まかな転職スケジュールの策定
転職活動のスケジュールは、転職を希望する時期から逆算して立てましょう。一般的に、転職活動には3ヵ月程度を要します。業務の引き継ぎ期間や繁忙期なども加味し、余裕を持って計画を立てることが大切です。
以下の記事では、転職活動の期間について詳しく解説しています。
転職活動は平均何ヵ月?「働きながら」と「辞めてから」転職するポイントを解説
- 職務経歴書の下書きの作成
転職を進めるうえで、自己分析は重要になります。これまでの経験やスキルを棚卸しし、自分が転職で何を実現したいのかを整理しましょう。この作業を通じて応募企業の選定基準が明確になり、応募書類の作成や面接にも役立ちます。 - メールアドレスの準備
応募企業や転職エージェントと連絡するために、パソコン・スマートフォンの両方で確認しやすいアドレスを用意しましょう。各キャリアが提供するキャリアメールには容量制限があり、重要な連絡を受け取れないリスクがあるため、フリーアドレスの使用をおすすめします。 - 家族への相談
家族がいる場合は、転職を検討し始めた段階で相談しておくことが重要です。収入や勤務地の変化は家庭に影響をおよぼすため、変化に対する不安から転職を反対されるおそれがあります。丁寧に話し合い、家族の理解と協力を得ることで、安心して転職活動に取り組めるでしょう。
以上を踏まえて準備を整えておけば、転職活動の本格始動後も落ち着いて行動できます。
専門家アドバイス: 転職を考えたら、まずは小さな準備から始めましょう。たとえば、転職サイトで求人を閲覧し、職務経歴書のひな形をダウンロードして、具体的な記載項目を確認してください。「これまでの仕事で嬉しかったこと・つらかったこと」をそれぞれ3つ書き出してみると、自分の価値観が見えてきます。ご家族がいる場合は、理想的な働き方について話してみるのもいいでしょう。小さな一歩の積み重ねが、納得のいく転職活動につながっていきます。
転職活動開始から入社準備までの6ステップ
転職活動は、以下のように複数のステップで進みます。
- 情報収集と求人探し(転職サイト・エージェント活用)
- 応募書類の作成(履歴書・職務経歴書)
- 選考対策(筆記試験・面接)
- 内定承諾と条件交渉
- 退職と引き継ぎ
- 転職先の入社準備
ここでは、6つのステップに分けて具体的に解説します。転職活動をスムーズに進められるように、各段階で意識すべきポイントを押さえておきましょう。
Step1:情報収集と求人探し(転職サイト・エージェント活用)
自分の希望に合った求人情報を集める際は、複数の転職サイト・エージェントを活用するのが効果的です。
転職サイトには「大手総合型」「業界・職種特化型」「年代・属性特化型」などさまざまなタイプがあるため、目的に応じて複数登録しておくと、情報の取りこぼしを防げます。転職エージェントについては、実際に面談して、相性や希望する業界への知見の深さを見極めることが大切です。
求人を探す際は、希望する職種や業務内容をキーワードに落とし込むことで、効率が高まります。企業研究に入る前に業界全体の動向を把握しておけば、志望先企業への理解も深まるでしょう。ビジネス雑誌や業界誌、業界特化のWebサイトなどで情報収集するのも有効です。
また、求人票ではわからない社内の雰囲気や働き方を知りたい場合は、OpenWorkの社員クチコミを確認することをおすすめします。OpenWorkにWeb履歴書を登録しておけば、企業やエージェントからスカウトが届くため、自分で探す手間を省けます。
Step2:応募書類の作成(履歴書・職務経歴書)
履歴書や職務経歴書といった応募書類は、誤字脱字や日付の誤りなどがないか丁寧に確認しながら、基本事項を漏れなく記入することが大切です。また、採用担当者に良い印象を与えられるように、レイアウトや文字の大きさ・配置にも注意を払いましょう。
書類の内容には、興味を持ってもらえそうなキーワードを意識的に盛り込むと効果的です。企業が求める人物像を把握したうえで、それに合った自分の強みをピックアップしてみてください。応募先によってアピールポイントを変更・調整することも重要です。このとき、OpenWorkの社員クチコミを活用すれば、企業の雰囲気や評価されやすいポイントを把握しやすくなります。
アピールポイントを記入する際は、誇張しすぎたり、自慢と受け取られたりしないように注意しましょう。あくまで事実に基づいた内容にすることが大切です。また、より説得力のある内容にするために、志望動機と転職理由に一貫性を持たせることを意識してみてください。
Step3:選考対策(筆記試験・面接)
企業のなかには、書類選考や面接のほかに筆記試験を実施するところがあります。応募企業が選考時に筆記試験を行なうかどうかを転職エージェントやクチコミなどで確認して、しっかり準備しましょう。
<筆記試験>
筆記試験にはSPIや玉手箱、TG-WEBなど、いくつかの種類があります。対策としては、時間配分を意識しながら繰り返し問題集を解くことや、模擬試験を受けることが挙げられます。また、時事問題に日頃から関心を持ち、新聞やテレビで情報をチェックしておくと安心です。
<面接>
面接では、以下のような内容の質問が頻出傾向にあります。それぞれの回答のポイントを押さえて対策しましょう。
Q:自己紹介をしてください。
→回答は3分以内にまとめる。経験やスキルを簡潔に伝え、意欲も忘れずにアピールする。
Q:転職理由を教えてください。
→事実をベースに、ネガティブな内容をポジティブに変換して伝える。
Q:弊社を志望した動機を教えてください。
→「なぜその企業を志望したのか」が伝わるように、企業研究と転職の軸を結び付けて話す。
また、面接には対面形式とオンライン形式があります。形式ごとの注意点も押さえておきましょう。
- 対面形式
表情は明るく、笑顔で挨拶する。フォーマルな言葉遣いで、はきはきと話す。身だしなみは清潔感を意識。10分前には会社に着くように行動する。 - オンライン形式
安定した通信環境があり、周囲の雑音が入らない状態で行なう。画面内の採用担当者ではなく、カメラを見る。口角を挙げて明るい表情を保つ。大きめの声で、明るくはきはきと話す。
OpenWorkの社員・元社員に質問できる機能を活用すれば、筆記試験の傾向や面接でよく聞かれる内容、社風を事前に把握できます。回答や逆質問の質を高めることにもつながるため、利用してみてはいかがでしょうか。
Step4:内定承諾と条件交渉
内定を受けたら、すぐに返答をせずに、入社日や提示された労働条件の確認を行ないましょう。労働条件通知書に目を通し、不明点があれば必ず事前に確認してください。
特に注目したいのが、労働基準法第十五条第1項や労働基準法施行規則第五条で定められている、以下の項目です。
<必ず明示しなければならないこと>※原則、書面で交付しなければならないこと
- 契約期間に関すること
- 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
- 就業場所、従事する業務に関すること
- 始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること
- 賃金の決定方法、支払時期などに関すること
- 退職に関すること(解雇の事由を含む)
- 昇給に関すること
<定めをした場合に明示しなければならないこと>
- 退職手当に関すること
- 賞与などに関すること
- 食費、作業用品などの負担に関すること
- 安全衛生に関すること
- 職業訓練に関すること
- 災害補償などに関すること
- 表彰や制裁に関すること
- 休職に関すること
出典:厚生労働省「労働基準法の基礎知識」
必要事項が記載されていない場合や不明瞭な点がある場合は、必ず企業に確認しましょう。
また、条件に納得できない場合や希望がある場合は、以下のポイントを意識して交渉してみてください。
- 優先順位を決めて伝える
すべての条件について交渉するのではなく、特に譲れないものに絞って交渉しましょう。 - 要求の正当性を示す
自分の要求が正当なものだと示せるように、同業・同規模の他社の平均的な条件を確認しておきましょう。その条件と自分のスキルを照らし合わせた資料などを作成すれば、客観的なデータをもとに交渉できます。
ただし、企業によって対応は異なります。交渉に柔軟な企業もあれば応じない企業もあるため、無理に押し通さず冷静に判断することが大切です。
Step5:退職と引き継ぎ
内定を承諾したら、現職での退職準備を進める必要があります。
<退職交渉時のポイント>
- 就業規則で退職に関する項目を確認する
- 退職意思は最初に直属の上司に伝える
- 会議室などを確保し、口頭で伝える
- 転職先の社名はなるべく伝えない
まずは就業規則で、退職の申し出期限や手続きに関する規程を確認しましょう。退職の意思は、同僚や人事部ではなく直属の上司に対し、会議室などの落ち着いて話せる場を確保して口頭で伝えるのが基本です。デスク周りなど、周囲に人がいる状況で伝えることは避けましょう。なお、転職先の企業名を退職交渉時に伝える必要はありません。
また、円満退職をするためには、業務のスムーズな引き継ぎが不可欠です。以下のポイントを意識して進めてください。
<引き継ぎ時のポイント>
- 引き継ぎのスケジュールを立てて、マニュアルを用意する
- 取引先に後任者を紹介する
- 退職後も連絡が取れるように、上司と後任者に連絡先を伝えておく
引き継ぎでは、後任者の負担をできるだけ軽くすることが大切です。引き継ぎスケジュールの共有やマニュアルの作成、取引先への後任者の紹介など、できることを丁寧に対応しておきましょう。
Step6:転職先の入社準備
転職先でスムーズに勤務を始められるように、必要書類を早めにそろえておきましょう。企業によって求められる書類は異なりますが、一般的に以下のような書類を準備しておくと安心です。
<入社前に準備しておきたい書類>
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーが確認できるもの
- 源泉徴収票
- 扶養控除等申告書
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 健康保険 被扶養者(異動)届
- 給与振込先届出書
また、企業によっては以下の書類が必要になります。
<場合によって必要になる書類>
- 入社誓約書
- 入社承諾書
- 住民票記載事項証明書
- 従業員調書
- 健康診断書
- 退職証明書
- 身元保証書
- 資格取得証明書
時間がかかるものから優先的に対応しておくと、直前になって慌てずに済むでしょう。
まとめ:「転職したい」を力に、理想のキャリアをつかむ第一歩を踏み出そう
「転職したい」という強い気持ちがある場合は、現状の不満や希望を洗い出し、チェックシートで客観的に状況を見直したうえで転職を判断することをおすすめします。
なかには、転職を希望しつつも、やりたいことが明確でない方もいるでしょう。その場合は、興味のある分野の情報を収集したり、キャリア相談サービスを活用したりすることで方向性が見えてきます。転職を決めたら、求人市場の動向や自分の状況をもとにタイミングを計りながら、早めに企業の情報収集と事前準備を進めてみてください。
転職活動では、情報収集、応募書類の作成、選考対策、内定、退職、転職先への入社準備の各段階で意識すべきポイントがあります。スムーズに進められるように、各段階のポイントを押さえておくことが大切です。
OpenWorkにWeb履歴書を登録すれば、あなたの経験・スキルを見た企業や転職エージェントからスカウトが届きます。効率的な情報収集にもつながるため、理想のキャリアを目指す一歩として、ぜひ活用してみてください。
まずは無料ユーザー登録(1分)専門家アドバイス: 転職はその時の感情だけで動くのではなく、これまでの経験を踏まえた現状の整理と自己分析、具体的な求人情報の収集を通した仕事理解を経ることで、初めて納得のいく選択ができます。やりたいことが見えない時も、具体的な行動を重ねる中で方向性は少しずつ明確になります。焦らず一歩ずつ進めていきましょう。
専門家プロフィール
隈本稔
■資格
国家資格キャリアコンサルタント
■プロフィール
長崎大学大学院生産科学研究科を修了。その後、大日本印刷株式会社と東レ株式会社にて、製品開発・生産技術職に従事。2018年から、経営・キャリアコンサルタントとして長崎を拠点に企業の業務効率化、人材戦略立案、チームビルディング、集客サポートなど、経営改善や人材の有効活用に関するコンサルティングを行っている。